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新設! 組手の基本【カニ型組手】
こんにちは!
JKFanに2013年1月号から2020年6月号にかけて不定期で掲載された、月井 新先生の組手の基本を一冊に纏めた教範となります。
全11回に分けて紹介したいと思います。
Vol.1はカニ型組手 (2013年1月号)
ひと昔前の日本人選手の構え方が前提で話を進めます。
基本的には半身を取り、正中線を守ります。前足つま先は正面、後ろ足つま先は斜め前に向けています。
後ろ足のつま先が真横(あるいは斜め後ろ)に向いていると「崩されやすい」・「身体が流れている」・「後ろ足で床が蹴れない」と言った声が聞かれます。
それに対し海外選手では、相手に対して真横に構え前拳の後ろに自分の身体を隠し、基本的には両足のつま先は直角に開いています。
つまり、日本人選手は前屈立ちに近い構えに対し、海外選手は後屈立ち、もしくは四股立ちをベースにしています。
以下に相違点を挙げます。
1:上体の向き
日本人選手:正面に対し45~70°程 / 海外選手:90°に近い
2:両足つま先の角度
日本人選手:30~60°程度 / 海外選手:90°に近い
3:重心
日本人選手:やや前 / 海外選手:やや後ろ
半身の構えからの突きと、真横の構えからの突きを比較してみます。
半身の構えから基立ちで踏み込むと、前足と同時に身体全体が前進するため上体が相手に接近してしまう。
真横の構えからサイドステップで踏み込むと前足だけが相手に向かって飛び、身体を残すことが出来ます。そして、そこから腰を入れて突くので相手に取って射程圏外から突如突きが飛んでくる感覚となります。
相手のカウンターの射程圏外にいますので、刻み突きを食らう可能性が少なくなります。加えて、頭を後ろから押し込められるように入る事で、顔面が真っすぐに相手に向かっていくのではなく、線を外して突けるので二重に安全対策が取れます。
この突きで最も大切なところは、突く直前の立ち方にあります。
後ろ足のつま先が真横から斜め後ろを向いていれば、前足を飛ばしたときに身体は流れません。つまり後ろ足が「壁」になります。
これを、基立ちで構えると、前足を踏み込むと同時に身体全体が一緒に前進するので、身体が相手に早く近づくことになります。
カニ構えのフットワークのコツです。
・膝から下で動き、膝の位置は変えない
・逆突きは股関節の内旋で突き、突いた後は引き手と股関節の外旋を使い、素早く後退し距離を取る
・刻み突きに入る時も、両足を直角に開いたまま突いて良い。(後ろ足を開くことで線を外して入る効果がある)
・前足は踵から着地する
・刻み突きの後に間を切る時は、引き手と一緒に前足股関節を外旋させ、足をスイッチして後退する(次の反撃も素早くできる)
・両足のつま先を直角に保ったまま動き、必要に合わせて股関節の内外旋、肩甲骨の開閉を使って受け・突き・蹴りを行い、攻撃の後は間を切る
2022年現在の組手は、完全にカニ構えが定着していますね。