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世界王者たちの合宿 -トルコ式王者の距離と戦術編-
こんにちは!
4本目は”トルコ式王者の距離と戦術編”
トルコのアラガス先生の組手理論をシェアします。(全部ペア練習です)
【同じ距離を保つ】
一方がランダムにフットワークします。例えば3回前に出て、1回下がるなど相手の裏をかきます。
相手は動きに応じて、常に同じ距離を保ちますが、距離感を間違えるとポイントを奪われてしまいます。
シンガードを互いの前拳で軽く押さえながらペア練習をすると、詰まりと開きが分かり易いですね。
詰まるとシンガードが潰れて、開くと床に落ちるので。
【近くなったら刻み突き】
攻め手は近づいたら刻み突き。
受け手はガードせず、常に距離を保つだけ
もうひとつのルールは、下がる相手に攻撃を入れないこと。
目的は駆け引きの中で技をだすこと。
詰める、引く、詰める、引く、、相手が出てくる瞬間に技を合わせます。
駆け引きの中で、相手を誘い出します。
集中して相手の動きに合わせ、相手が止まれば、自分も止まります。
【詰め方と離れ方】
自分は、正体(利き構え)と逆体どちらも使い前後左右にフットワークします。
自分が間合いに入ったら、ペア相手は刻み突き/上段逆突きのどちらかを出します。
ペア相手が動かして良いのは、前足1歩だけ。
この練習の目的は、遠い距離からステップで近づき、相手の攻撃をスイッチして避けること。
前後左右にフットワークし相手にプレッシャーをかけて、相手が出てきたところを避けます。
近づきすぎるとダッキング止む無しだが、蹴りをもらうリスクがあります。
要するに、相手が突きを打ちたくなる位に近づき(誘って)スイッチしながらウィービングしてチャンスメイクする戦術でした。
【騙しの戦術1】
(カウンターを狙う相手)
シチュエーション:相手をコーナーに追い詰めた状況です。
攻めと守りを両方の練習です。
自分:刻み突き
相手:逆突き
①・普通に刻み突き。
②・フェイントを入れます。膝を抱え込んだり、足払い入れたりしながら刻み突き。
③・空中で大きく前脚を入れ替え、(スイッチするだけなので距離は変わらない)・(上体を前に晒し中段突きを誘う)斜め45度に移動して刻み突き。
カウンターを狙う相手に、プレッシャーをかけ相手のペースを乱し、突きを誘う練習でかなり高度なテクニックです。
なかなかお目にかかれない戦術ではないでしょうか。
【騙しの戦術2】
(相手に隙を作らせる)
シチュエーション:手の内を知らず、相手が自分の出方をうかがっている状況。
相手はフェイントをかけ、自分が下がるのか横へ行くのか、カウンターを打つのか探っています。
通常は、相手が一歩前に出たら自分は一歩下がり距離を保ちます。
自分から仕掛けず、相手がフェイントを入れてくる場合、わざと大きく下がります。(2歩、3歩程度)
これを数回繰り替えすと、相手はもっと距離を出すために、連続技が必要だと考えます。
そこをカウンターします。
「この相手は怖がっている」「下がる相手だ」と思わせることが大事です。
刻み突きでは届かないと思わせ、連続技をださせてカウンターを狙います。
1回目は大きく下がり、場所を変えてもう一度下がります。
最後のカウンターは攻めの気持ちが強すぎますと相手にバレてしまいます。
また下がるだろうと思わすことが重要です。
中段カウンターの他に、思いっきり突っ込んでくる相手には横蹴りなんかも有効ですね。
【刻み突きのフォーム解説】
ちょっと変わった打ち方です。
左右にフットワークを取りながら、飛び込みますが来る瞬間が読めません、、
1・後ろ足を前足まで寄せる
2・後ろから押された感じで前に飛び込んで突く
3・引き手と同時に中に入る
4・相手の外側を取る
【守りの中で相手をコントロール】
シチュエーション:自分がリードしている状況で残り時間はわずか。相手は当然詰めてきます。
コーナーを利用します。
相手が詰めてきて、自分が動くと相手もついてきます。
(相手を)詰めさせる → (自分は)横へふる → プレッシャーをかけ(相手を)下がらせる → (相手を)誘う
こうやって相手をコントロールします。
守る立場ですが相手を動かせて、前に来た出ばなを取る感じです。
相手が攻めようとする瞬間を捉える練習でした。
アラガス選手は、コーナー際で相手を上手くコントロールし、「ちょっと変わった刻み突き」でいとも簡単にポイントを奪ってみせます。
殺気(気配)のない独特のリズム感から繰り出す刻み突きは、「えっ?!」って感じです。
【蹴りのスピードアップ】
パートナーにミットを持ってもらい、左右の中段回し蹴りを連続で蹴り続けます。
蹴ったら素早く元の構え(左右)に1回いっかい戻るだけ。もの凄いスピードで蹴り続けています。
【騙しの戦術3】
(蹴りでガードを空ける)
後ろ回し蹴りをすれば、相手の前拳で上段をガードします。
ガードすることで内側がガラ空きになります。
次に後ろ回し蹴りのフェイントを入れてみます。相手の前拳は釣られて構えが開いたところを、裏回し蹴りです。
後ろ回しをフェイントに使い、裏回しで極める技でした。
0・距離を保ちフェイクの後ろ回し蹴り
1・少し前へステップ
2・腰を回転させる
3・前膝をしっかり抱え込む(ガードも兼ねている)
4・裏回し蹴り
直線的に入らず、腰の回転を使って受けを誘って反対側にダイナミックに入っています。
これをクイックでお手本を見せてくれます。
なかなか国内では観る事が出来ないテクニックだと思います。
【拳サポーターキャッチ】
3人グループを作ります。
2回突くので距離が必要なので互いに2歩下がります。
①お互いが構えて向き合う
②中央に立つ人が上から拳サポを落とす
③前拳でキャッチした方が、逆突きする
かなりスピードが入った状態での中段差し合いなので、突きをコントロール出来る人か、防具をつけてしないといけませんね。
ただ、試合直前の実戦練習に向いてるんじゃないかな。
重量級選手がガチで差し合いしてます。
アラガス先生のメッセージです。
「空手で最も必要なことは距離です。なぜなら失点しないですし、速く近づければ得点出来ます。」