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浪速の空手2 変革・深化・速スピード -攻防を制する高次元の練習体系- 1/3
いつもありがとうございます!
大阪の強豪校、浪速高校の練習を収録したDVDシリーズ2本目です。
チャプターが多いので3本に分けてシェアしたいと思います。
まずは前半です。
01・ストレッチ準備体操
02・理にかなう真半身の構え
03・攻防の反応力を磨く 連続ミット蹴り
04・しなやかな蹴りと柔らかい上体を作る 高速蹴りの攻防
【ストレッチ準備体操】
腕の付け根、肩甲骨回りをゆっくり入念にストレッチです。可動域が大きいと長い突きを放てますので組手選手は特に大事にしているのではないでしょうか。
他には両腕を頭上で組み脇腹を捻じるようにストレッチしたり、振り子のように足を振り回し股関節回りを緩めています。
次は、一列に並び動的ストレッチ。
ここでも肩甲骨回りを前後左右に伸ばしながらです。
腿裏を踵でタッチしたり、カリオカで腰回りをツイストしたり、足上げで股関節回りを緩めています。
下半身を使ってサイドにウィービングしたり、ジョグ・サイドステップ・ダッシュでした。
ステップワークでは、両足抱え込みジャンプや、その場で足を高速で入れ替え・サークルに回ったり、組手構えでスイッチでした。
【理にかなう真半身の構え】
構えについて説明です。
今井監督は、今(当時)の組手競技にマッチした自身の考えを論理的に説明されます。
昔と今の違い。
なぜこうするのか。
昔のままだとどんなデメリットがあるのか。
競技空手は当然の如く、年々進化(変化)していきます。
当時は効果的だと考えられていた技術も対策を練られ通用しなくなったりしますね。
共通したルールの中で、試行錯誤しながら独自のスタイルが生み出されていきます。
競技空手もまた、生き物と同じで変化を繰り返していきます。
練習に入る前に意図を説明されますが、とても分かり易い言葉でスッと頭に入ってきます。
この真半身の構えは、『競技の達人』でお馴染みの月井 新先生のDVDでもまったく同じこと内容を触れられており、2024年現在でも有効とされる構え方です。
真身がなぜいけないのか、簡単に説明するとこうです。
・真身に構えると、自分から相手の突きを迎えに行く(急所を晒しているから)
・国際大会や強豪校と対戦する時、真正面(顔)から入ると裏回し蹴りをもらう(両足が前に向いてるので前に出る推進力で後ろに反応が出来ない)
今の競技空手で主流な技の入り方は、前だけでなく横からの入り方や斜めも有りますので、ボクシングの様に上体を振って左右にウィービングする技術も導入されています。
真身だと、前でぶつかり合う勝負には有効でしたが、立体的な技には対応が遅れてしまいます。
そこから生まれた構え方が、真半身の構え。
おそらくDVDの撮影と言うことで、この構え方の利点を改めて丁寧に説明してくれています。
・しっかり真半身となる
・両膝は常に余裕を持たす(溜めを作る)
・膝は落とし過ぎない(前足が張ってしまい動きにくい)
・目線の高さを上下させない(ブレると戦いにくい)
・ステップは地面の反動を利用する(跳ばず沈む)
・固まらずリラックス(反応出来る)
・つま先の向きは斜め外を向く(バックステップしやすい)
足を止めて前を向いて圧をかけながら、どっしり、どっしり進んでくる構え方は戦い易いとも言っています。
(勝てる確率が下がるとまで言ってます)
説明はここまでで真半身の練習です。
まずは全員で自分の得意構えで前後左右斜めの8カ所を自由にフットワークします。
アドバイスはこうです。
・自分の前に相手を想定する
・構えを下げない(あえて隙を作り相手を誘うのは良い)
・両手とも常に拳サポをターゲットに向ける
・地面の反動で跳ねると躍動感が生まれる
次に構えだしについて。
勝負始め!
続けて始め!
構えだしが遅れると、間合いの作りが出遅れてしまいます。
足タッチです。
常に動き合い、互いに足を踏みあいます。
上体は力を抜き、足は細かく動かし決して止まりません。
目的は、その場に居つかないこと。
足が止まっていては的になるだけです。
短い秒数で集中して練習しています。
次もペアとなり互いに両手を繋ぎ片方が誘導、もう片方は離されないようついていきます。
前方・後方・左右・斜めをランダムにフットワークします。
改めて説明しますと、真身の場合、後ろ足が前方に向きますのでバックステップすると膝が伸びあがり上手く下がれません。
後ろ足の溜めが無くなり上体が上がってしまうと、瞬時に攻撃に入れません。
つま先をㇵの字に開いておく理由が明確となりましたね。
この練習での注意ポイントは、
・膝のゆとり
・腰の安定
・リラックス
これは今のゆり生に、持ってこいの練習です。
誘導側は、前後左右に動き技を仕掛ける距離感を掴み、ペア相手は間合いを保つ練習です。
間合いが詰まると突き(蹴り)をもらうことを学べますね。
誘導側が下がり、ペア側が前に引っ張られる瞬間が力みがち。
相手に動かされた、この瞬間が危ないと説明されています。
力むと居つく(固まってしまうこと)からです。
居つくと反応が一手遅れます。
上体の脱力を意識して膝下だけで動くイメージです。
ビックリしたのは、これは誘導される側の練習です。
突然方向転換しても、力まず距離を保つ練習になっていること。
誘導側が力んだ瞬間があれば即座にペア相手にアドバイスしています。
誘導側が相手を騙して距離を詰める練習だとばかり思っていました。
ここから、実際に突きに入る時の姿勢について説明されています。
例えば、両足を揃えて前方にジャンプする時、距離を出そうとすると自然に空中でお腹を前に突き出しているはずです。
これは突きも同じで一気に間合いを詰める時、相手の懐に飛び込む時にも共通します。
入りの基本は『お腹の意識と斜め前方に向かって』と説明されています。
もうひとつポイントについて。
本来ポイントとは目に見えないものですが、スポンジのボールで可視化し分かり易く説明してくれています。
ペア相手に胸の前にボールを置いてもらい、自分は大きく前方に腕を伸ばしポイントの実を取りに行くことを指導されています。
当然、自分の胸にもポイントの実がありますので、素早く間合いに入って実を奪われないように下がらなければいけません。(残心)
ゆりの生徒には、落ちてくるボールを落とさないように掴むイメージで刻み突きを放つ指導をしたことがありますが、理屈は同じです。
突きの基本は、いかに速く長く出すかです。
正面を向いた真身の構えだと、膝が詰まって距離が出ません。
真半身で突いた手をそのままにして、体勢を真身に変えると腕(突き)の距離が短くなるのが一目瞭然ですね。
真半身で身体を捻って突くと長い距離が稼げます。(あと斜め上とお腹を出すこと)
突きの指導では、腰が上手く使えない選手に対し、突きを相手の顔の前で止めるのではなく、顔の後方へ貫通させる指導をされていました。
【攻防の反応力を磨く 連続ミット蹴り】
テコンドー用のハンドミットを使って自由に蹴りの練習です。
ここではミットを持つ人のスキルが問われます。
動きの中からミットを自在に構え、攻撃させます。
攻撃する方は、瞬時に距離間を測り攻撃を繰り返し咄嗟の反応力も養っています。
・単発の蹴り
・蹴りの変化(中段 → 上段)・(刻み蹴り → 裏回し蹴り)
・突き → 蹴り
・スピン(後ろ回し蹴り)
・足払い → 突き
・蹴り → スピン
・突き → 蹴り → ダッキング
・突き → 引き込み(裏回し蹴り)
・背面への蹴り
・ゼロ距離からの蹴り
・逆体にスイッチしての蹴り
・足払いを捌いてからの突き
【しなやかな蹴りと柔らかい上体を作る 高速蹴りの攻防】
ここまで蹴り(攻撃)の練習ばかりでしたが、蹴られると最大3失点しますのでガードも出来なくてはなりません。
メンホーをつけた選手が膝立ちで構え両手でブロックし、攻撃側は蹴りの変化と連続蹴りの体勢作りを身につけることが目的です。
人間の心理として、蹴りが飛んで来たら怖くて目を瞑ってしまいますが、これは「慣れ」と言います。
あえて膝立ちさせている意味は、顔の高さを下げ上段に蹴りが多く飛ばすこと。
両手での受けは、手を出しているだけでは吹っ飛ばされてしましますので、瞬間脇を締めて張る意識です。
連続蹴りについてこれない選手は、次第に両手のガードの外に頭が移動しそこを狙われてしまいます。
蹴る側は、膝下を柔らかく使う意識を持ちます。
足を降ろさず何本も連続して蹴りますが、疲れて降ろした瞬間また地面の反動を使って間髪入れずに何本も蹴ること。
膝立ちの次は、利き構えで片膝立ちし繰り替えしますが今度は足払いが飛んできます。
下の意識を持つとともに上段のガードを両手でします。
また、上体を柔らかく使いスウェイバックも取り入れていました。
受け側のポイントは、
・目を瞑らない
・脇を締め腕を張って捌く
・顔を振らない
・上体が前に突っ込まない
・上体を柔らかく
上級者コースの練習メニューの紹介でしたが、何より今井監督の分かり易い例えを交えた説明に感心させられます。