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浪速の空手2 変革・深化・速スピード -攻防を制する高次元の練習体系- 2/3
いつもありがとうございます!
大阪の強豪校、浪速高校の練習を収録したDVDシリーズ2本目です。
チャプターが多いので3本に分けてシェアしたいと思います。
本日は中盤です。
05・ボクシング流 上体だけでの攻防
06・複合練習 触り組手 + 足払い
07・反射神経を養う 扇打ち込み練習(・突き・蹴り・離れ際の攻防)
08・その場の対応力をつくる 十字ランダム練習
【ボクシング流 上体だけでの攻防】
ペア練習です。
互いに足を止め片側が高速で突きを放ち続けます。
自分は頭を振って突きをかわし続け、相手が構えた瞬間返し技を入れます。
足を固定して突きの攻防をしています。
ボクシングと遜色ない位、もの凄いスピードでこれを繰り返します。
動体視力がハンパではありません。
互いの全ての突きが顔面を捉えているのに一発も被弾することなく、膝を柔らかく使い上体をウィービングさせています。
ペア相手が構えた瞬間に反撃するパターンに加え、互いに反撃 → 反撃を繰り返す2パターンでした。
ポイントは頭を振り続けること。
今井監督曰く、選手が試合中ポイントを獲られる時は、頭を一度振った直後に突きを極められているそうです。
失点パターンを分析し、日々の練習に取り入れられています。
応用では、ペア相手が自分の両手で蹴りの軌道を描き、受け手が突きや蹴りを捌いて反撃する練習をされていました。
(直線的な突きの軌道にプラスして、フック気味の軌道で蹴りを出しています)
また、足払いやスイッチも織り交ぜながら上下に散らしています。
止まった瞬間ポイントを獲られてしまう意識で練習させていますのでノンストップです。
【複合練習 触り組手 + 足払い】
触り組手。
間合いの練習です。
足でタッチして良いのは膝下の足払いだけ。
突きで互いにポイントの実をタッチする感じです。ボクシングで言えばマススパーでしょうか。
動きだけはフルスピードで、技は60%程度に出し合います。
とにかく互いに見合う時間が無く動き続け触ったあと、自ら仕掛けることで躍動感を掴む練習をされています。
途中今井監督が優しい口調で一人ひとりに的確なアドバイスを挟みます。
「ガードの上突いてんぞ!」
「どうやってガード下げさすねん!」
フルスピードで動きつつ、瞬時に状況判断も求めていきます。
なるほど強い理由が少し分かった気がしました。
理にかなった動きを指導するとともに、激しく動きながらも状況に応じて頭の中で戦術を選択させています。
頭の回転が速いんでしょうね。
【反射神経を養う 扇打ち込み練習(・突き・蹴り・離れ際の攻防)】
7人練習で行う練習で、出す技を決めています。
攻撃は1人、台が6人が扇に並びます。
1人目:刻み突き
2人目:スライド刻み突き
3人目:逆上
4人目:切り返し逆上
5人目:ワンツー(上段 中段)
6人目:ワンツー(上段 上段)”中段突きのフォームで上段突き”
1本打てば、立ち位置にバックステップで戻り次の攻撃に移りますが、
大事なのは突き終わりスイッチする際、逆の手で相手を押し空間を作ることが必要です。
相手がビクともせずバックステップすると相手に追われ反撃にあうと指導されています。
どの技も、技が詰まらず相手の後方へ抜けていくイメージで思い切って突きを飛ばすことを指導されています。
また切り返し逆上では、相手の突きの軌道上の外側から入っています。
この技術は松久先生や荒賀先生、月井 新先生も同様の入り方を紹介されています。
突きの瞬間、小指を上に向ける技術なんかも3者に共通する長い突きを出すためです。
(身体が出来上がってくる中学生からでしょうか)
真っ直ぐで勝負すれば、相手の刻みの方が絶対速いですので軌道を変えることで避けながらポイントを獲りに行きます。
しっかり自分の奥拳で相手の刻みを封じながら切り返して逆上を極めています。
同様に台を配置し次は刻み蹴りの練習です。
刻み蹴りのフォームはお尻を前に突き出すイメージが大切です。
1人目:中段蹴り
2人目:上段蹴り
3人目:中・上(ダブル)
4人目:裏回し蹴り
裏回し蹴りも状況によって使い分けを指導されています。
相手が前に出てきた時(カウンター)の裏回し蹴りは膝を曲げて巻き込み、
自分から仕掛ける裏回し蹴り刺すイメージで足を伸ばします。
次は、後ろ足で相手の背部への蹴りです。
1人目:中段回し蹴り
2人目:裏回し蹴り
3人目:足払い → スイッチ → 刻み突き
4人目:足払い → スピン(後ろ回し蹴り)
中段回し蹴りの意識は「膝の引き寄せを速く」
近間の攻防です。
このDVDの収録時、掴みに関するルールに見直しが入った時期でした。
相手の道着を掴んでの攻撃が許されていましたが、掴みは一瞬だけに変更されました。(今も)
現在は掴んだまま突きを2回出せば、カテゴリ-2の反則です。
ルール変更に対応した練習をされています。
シチュエーションはこんな感じ。
自分刻み突きを仕掛けた → 相手がダッキングしてかわした→ 掴んだ → 技出す!
ポイントは4つ
①一度相手を引き寄せてから離して突くこと
②引き手は大きく取る
③攻撃によって道着を掴む位置が異なる
④引き寄せたければ押し、離したければ引き寄せる
(相手は反発するのであえて目的とは逆を行い、相手をコントロールします 高度!)
1人目:逆上
2人目:刻み突き
3人目:裏回し蹴り
4人目:背部へ中段回し蹴り
5人目:投げ
ダッキングしての投げは、相手の襟を真上に持ち上げることと、隙間を作らないように。(スペースがあれば逆に投げられるよ)
ルールが変われば戦い方も変わっていきます。変化に順応出来た人が勝ち残っていくんだと思います。
戦い方や戦術を指導者が研究に研究を重ねた努力する姿が容易に想像でき浪速高校は、いろんな場面を想定して練習されています。
強さの理由が分かったような気がします。
【その場の対応力をつくる 十字ランダム練習】
応用編では、台の選手が自由に動き回ります。
台の人がランダムに自分の番号1・2・3・4と声をかけ、瞬時に向きを変え順番に向きを変え攻撃を仕掛けます。
前から、横から、後ろから360度相手がやって来ますので、距離や間合い・タイミングによって出す技を瞬時に選択しています。
一撃も食らわずに行うとなると、もの凄く反射神経が上がる練習方法と言えます。
周辺視野も無いとついていけませんね。
改めて、書きますが真身で構えていては、次の相手が背部にいたら絶対に一手遅れてしまいます。
「先の先」・「後の先」ともに反応速度を競う競技空手では、これは致命的です。
なぜ真半身の構えなのか、十字ランダムの練習を通じて、横の動き・後ろの動き・斜めの動きに対し理にかなっていることを
DVD向けに論理的に説明してくれています。
その他のアドバイスでは、膝のゆとりの重要性を伝えています。
浮いていては、技に入る直前体勢を作る動作が入るので、膝のゆとり(溜め)が常に必要です。
また、十字ランダムが得意な選手に共通することに腰(高さ)の安定が挙げられていました。
観ているだけで勉強になります。