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タナス・フラッシュ Vol.1 -世界最速の攻防、強い体幹 戦術を身につけるトレーニング 基本編- 2/3
こんにちは!
ギリシャの貴公子 ジョージ・タナス選手のセミナー基本編その2です。
3:トリックの妙
4:蹴りの妙
【トリックの妙】
「間合いを制する」
組手には3種類の間合いがあります。
ひとつめは遠い間合い。ポイントは取られることがありません。
ふたつめは中間の間合い。この距離はポイントが取れる距離です。
みっつめは近い間合い。(小学生には反則だが)投げや裏回し蹴りでポイントが取れます。
この3つの距離でポイントの取り方を説明されています。(全て中段逆突き)
相手に気づかれないようにトリックを使います。
例えば、遠間から思い切ってドーンと突っ込んでも、相手に見切られるかカウンターを合わされますが、
リラックスしながら前後のフットワークで、スッと間合いを詰め中段に潜ります。
王道な方法だと思います。
タナス選手の突いた時の姿勢ですが、真っすぐ入らず線を外して突き、相手の攻撃の軌道を逸らしています。
また、万が一に備え前拳で上段をガードもしています。
日本人の打ち方は、頭の高さが変わらず身体ごと前に正面衝突するので、カウンターを合わせやすいと説明されています。
自分の顎めがけて、刻み突き(上段逆突き)が飛んできても、顔は線を外していますので被弾しません。
これがヨーロッパスタイルでしょうか。
荒賀先生もこの入り方ですね。
中間距離の入り方ですが、自分から仕掛ける場合これもいきなり入っては反応されてしまいます。
自分の前拳で相手の拳サポをタッチしながら潜っています。
高低差を使い相手の意識を一瞬上に散らして、潜ることを説明しているんだと思います。
もうひとつ、前足を大きく抱え込みながら中段を突く方法でした。
これも先に書いた、高低差を使った入り方です。
「見えない攻撃 -拍子の省略-」
手は足よりも速く、逆突きよりも刻み突きが最も速い技と言えます。
常にリラックスした状態からダンスのようにフットワークを四方八方に使い、刻み突きを飛ばす練習です。
ジリジリっと間合いを詰めるスタイルだと、省エネでスタミナは保てますが相手に取って攻撃しやすく的になりやすいです。
動きの中から相手の隙をみつけ、リラックスした状態から一気に刻み突きを飛ばします。
モーション(おこり)があっては、何か来るっ!と反応されてしまいますので、リラックスがとにかく重要です。
力むと息を止めてしまうから、逆に少し吐きながらの方が良いですね。
タナス選手の入り方は前後左右の動きの中に、前足でプレッシャー(いくぞと見せかけるフリ)をかけたり、前手の肩を小刻みに動かしたり、フェイントを織り交ぜています。
終始柔らかいフットワークの中から、一気に飛び込みドンピシャで相手の顎を捉えていました。
本人の説明によると、「スピードで取ったんでは無くタイミングをずらしただけ」
続いて裏拳・逆上の入り方も説明されていました。
2挙動でなく1挙動で入ること。
逆上の入り方は、松久先生と同じ。両手から飛びこむ突き方です。
前拳を追いかけるように奥拳を出していきます。
身体からじゃなく手から入ることがポイント。
しっかり相手の前拳を蓋して奥拳で捉えます。
しっかり引き手と残心とるところまで。
「受けさせて決める」
ワンツーです。
タナス選手の説明では、刻みを大きく入り間を詰め至近距離から逆上を放ちます。
最初の刻みで相手の目のあたりを狙い、目くらまし出来れば後は何でも極まるとのこと。
距離が詰まった短い突きだと、旗が上がりにくい印象を受けてしまいますが、ご本人の打ち方でした。
この突き方(近距離)をするとすれば、引き手と残心を大きく見せなければいけないと思います。
副審が得点と見なす基準は6項目あります。
①良いフォーム(正確な技)
②スポーツマンらしい態度
③気力(スピードとパワーを伴う)
④残心(技を出した後も相手を意識していること)
⑤良いタイミング
⑥正確な距離(技が有効になる距離)
1本目の刻み突きでポイントを取るつもりで入るとの説明でしたが、これには同意です。
【蹴りの妙】
いつもいつも蹴り技を出すという訳では無いですが、必要な時に蹴れるようにはなるべきです。
「蹴って間を切る」
ペアとなり10㎝手前を目掛けて、交互に刻み蹴りを出す練習です。
刻み蹴りのあと蹴り足を軸足付近に戻し、バックステップです。
コントロールに気をつけてスピードを上げていきます。
蹴った後構えを崩さないこと、両足で蹴れること。
「小さなモーションで蹴る」
裏回し蹴りの練習に移りました。
ここでいう大きいモーションとは、身体の枠の外から蹴ることです。
これも松久セミナーと共通しています。
相手のガードめがけて膝を掻い込み、腰の回転を使って相手の顔の外側をタッチする蹴りを練習しています。
決して ”円” で蹴りません。
「縦に蹴る」
ペア相手が頭上に拳サポを置き、縦に裏回し蹴りを行う練習です。
最短最速で蹴る練習です。
「上体を倒して中段を蹴る」
中段蹴りと中段逆突きのスピード勝負です。
ブザーとともに対決した時、片足で立つ蹴りよりも突きの方が速いですが、上体を後傾して蹴ることで失点のリスクを軽減させる考え方です。
蹴る瞬間は、逆突きを放つように腰を入れることでスピードと威力が増します。
上手く表現出来ませんが、前足を上げ足の踏み替えで中段回し蹴りも行っています。
これは蹴る瞬間、軸足に力は要らないですよと伝えているようです。
足の踏み替えのみ片足で蹴ってます。
「スウィッチして蹴る」
自分は利き構え。
ペア相手は真身に立ち、ランダムで左右にサッと構えてもらいます。
反対に構えた場合、素早くスウィッチして中段回し蹴りでした。
尋常じゃない反応速度です。
「山を張らせて蹴る -回し蹴り~裏回し蹴り、裏回し蹴り~回し蹴り-」
眼で相手の山を張らせ、逆をつく方法を説明されています。
チラッと足元を見ながら入り、上に振る感じです。
蹴りが得意な選手と対戦する場合、上段蹴りを両手で片側方向だけをガードしていては、蹴りの変化によって逆を蹴られてしまいます。
眼で誘導し、内側・外側を瞬時に使い分けでした。
突きの場合でもこのテクニックは使えます。
眼と上体の振りで内側に入り、線をズラして外から逆上で取っていました。
他にも目と上体を一瞬だけ浮かせ足払い等も紹介したり、刻み蹴りに見せかけ横の変化で裏回し蹴りに変化させてもいます。
蹴りに変化をつけて繰り返し練習していました。
「中段から上段へのコンビネーション」
中段回し蹴りを相手のお腹に強く当て、足を降ろさず(戻してもダメ)そのまま上段に移行する技です。
(膝から下のスナップで蹴る)
強く蹴ることで、相手が踏み込んできにくくする目的だそうです。
1本目と2本目の間はクイックで蹴ることが重要です。
ダブルで蹴る時のアドバイスは、膝の位置が変わらないこと。
2本目蹴った足は前に降ろし、スウィッチしてバックステップです。
「中段蹴りの軌道から上段を蹴る」
相手のお腹を蹴る軌道で、膝の掻い込みを使って裏回しへ移行させる技です。
縦のラインで蹴るからこそ出来る技です。
中段と上段への変化や裏回しを見せておけば相手は、次なにが来るか予測しにくく心理面で優位に試合運びが出来ますね。
「後ろ回し蹴りで徐々に上を蹴る」
その場で回転しながら蹴る、後ろ回し蹴りの練習です。
①膝下 ②帯付近 ③胸元 ④顎
の高さで4段階に分けて行います。
リラックスしながらしっかりとコントロールし、これも膝の掻い込みと腰の切り替えしが重要です。
「足を降ろさずに連続で蹴る」
足を降ろさずに10回連続でゆっくり刻み蹴りを行います。
膝から下のスナップで蹴りますが、体幹が強くないと難しいと思います。
慣れてくれば、刻み蹴り・裏回し蹴りと交互に入れ替えながらお手本を見せてくれます。
(凄いスピードでした)
「多くの種類の蹴りを連続で出す」
どんな蹴りでもオッケー。遊び感覚で蹴りを沢山出す練習です。
刻み突きや逆突き等も大事ですが、時には楽しみながら練習することも大事です。
ざっとこんな感じです。
・足払い → (体勢崩れた相手の背中)中段蹴り
・スウィッチしながら中段蹴りダブル
・上段回し蹴り → 後ろ回し蹴り
・正面蹴り → 内回し蹴り
・刻み蹴り → 裏回し蹴り
・上段蹴りダブル
・正面蹴り → 後ろ回し蹴り
・正面蹴り → 三日月蹴り
どれもが左右の足を巧みに使って蹴ってました。
相手の前の足に飛び乗って後ろ回し蹴りなんかは、映画のアクションシーンのそれと同じでした。
凄い運動神経です。
上手く説明出来ませんが回転系のテコンドーの蹴り技?も数種類披露されていました。
ペア2人立たせ3本の拳サポを縦に配置させ、回転しながら3つ蹴るやつね。