こんにちは!
2022年10月29日、日本空手道会館で開催されたセミナーの様子をご紹介します。
本セミナーには東京2020オリンピック女子組手61kg超級で銀メダルを獲得した、アゼルバイジャン出身のザレツカ選手が登壇されました。
また、同大会で対戦経験のある植草歩選手もサポートとして同行され充実した内容となりました。
収録時間は2時間弱と大変ボリュームがありましたので、全4回に分けて内容を詳しくご紹介していきたいと思います。
1・ウォーミングアップ
2・フットワーク
3・構えてのステップワーク
【ウォーミングアップ】
道場内をジョギングで何周か回った後、高くて大きなサイドステップを3回。
その後すぐに素早いサイドステップを3回行いました。
さらにスクワットジャンプや、号令に合わせて近くの人とランダムにジャンプしてハイタッチする動きも加わり楽しくも活発な雰囲気に。
ジョグは継続しつつ突然の号令で「伏せ」の動作が入るなど、反応力を養うトレーニングも行われていました。
なお、反応が遅れた子どもには腕立て伏せ3回の軽い罰ゲームがあり全体としてメリハリのある楽しいウォーミングアップでした。
続いては一列に並び、以下のアンクルジャンプ系のドリルを行いました。
① 前後および左右のアンクルジャンプ:
リズム良くバネを使いながらジャンプし、足首の強化とバランス感覚を養います。
② その場でアンクルジャンプ3回 → 素早く前屈立ち → ダッシュ:
瞬発力と素早い体の切り替えを目的とした練習です。
③ 足の入れ替えでしっかりと止まる練習:
動作後にピタッと静止することで、コントロール力と体幹を鍛えます。
④ ダッシュは「一歩目を速く」:
初動のスピードを意識することで、試合でのスタートダッシュに繋がります。
【フットワーク】
次は腕を脱力しだらんと下げた状態でその場ステップを行い、号令に合わせた瞬発的な動きの練習です。
① ひとつ目の号令で「ダッシュ」の構えに入る
② ふたつ目の号令で実際にダッシュする
この一瞬の切り替えが重要で動きに“メリハリ”をつけるトレーニングです。
試合中、フェイントの後に技を出す際の動きに非常に近い感覚を養います。
また道場でのラダートレーニングでも時折登場する「ニーホップ」にも挑戦しました。
① ニーホップに逆突きを加えることで、手と足のリズムが異なる複雑な動きを学びます。これは運動センスを磨くのに非常に効果的です。
② タイミングの異なる2種類のニーホップ
③ 回し蹴りの動作に合わせたニーホップ
④さらに、もう片方の膝を使った後ろ回し蹴り風のニーホップにも挑戦
これらを繰り返すことでリズムを掴み、将来的に後ろ回し蹴りの習得にも繋がるかもしれません。
最後はリズムを「1・2・3」に分けての応用:
①「1」と「2」で左右のニーホップ
②「3」で後ろ回し蹴り風のニーホップ
普段あまり経験できない独特なリズム感を体験できる、とても面白いトレーニング内容でした。
【構えてのステップワーク】
ここから組手の動きが入ってきます。
組手構えからのフットワークです。
イリーナ選手の構え方と道場で指導する構え方は同じ。
1・膝を軽く曲げてタメを作り
2・前拳は顎の高さをキープ
3・もちろん真半身で構え
4・常に目線は相手に向け
5・腰の高さは常に一定で
6・両つま先はㇵの字方向
7・動かすのは足首だけ
基本通り数本こなし、次は "緩急" をつけ加えていきます。
前進する動きの中でプレスを入れたりしています。
どちらか一方の足ではなく、両足で強くプレスかけるようにアドバイスです。
4つ小刻みに前進し5つ目でプレスのイメージです。
今度は前述の内容にプレスを2つ連続で。
これも両足でプレス。
足を差し違えてはいけない事と腰が浮かない事。
次はワンステップで後ろに下がるフットワーク。
これも4つ小刻みに後退してバックステップ。
共通して言えることは両足を同時に扱うことと、軸を中心に保つこと。
動きの中で軸を保つのは容易ではありませんが、軸がブレてしまうとバックステップで間を切っても即座に攻撃出来ません。
前後左右に身体を動かしても、常に戦う準備が出来ていることが大事とアドバイスです。
足を差し違えて歩くような感じのフットワークでは "準備" が出来ているとは言えません。
基本に忠実に何度でもステップの練習を繰り返して身体に覚え込まさなければいけません。
次のステップワークは前後です。
小刻みに4回前進し大きく(速く)2つ前進、間髪入れずに一つだけ大きくバックステップ。
これが後に指導される、危険ゾーンに侵入する動きです。
前と後ろの切り替えしスピード。
ここで一泊、間が空いてしまうと理想とするやりたい組手が出来ません。
ザレツカ選手は速さはもちろんのことプレスが強い。
動きにモーションが無いので、一瞬で間合いを出入りする感じです。
力感を感じさせませんので、相手からすればフッと目の前に接近される感覚を覚えるんじゃないでしょうか。
理想的過ぎるステップワーク。
前後にステップしてますが、組手なので素早く攻撃に繋げなくてはいけません。
2つ間合いを詰めて相手をおびき寄せ、相手が釣られて前に出てきたところをバックステップで攻撃を回避。
そのあと間髪入れずに自分の攻撃をヒットさせています。(この時準備が出来ていないといけない)
いくら仕掛け(プレス)が速くても、下がり(防御)が遅いと相手の攻撃を被弾します。
常に軸は一定という訳ではなく、ディフェンスする時、上半身は "やや後傾" とのこと。
今度は「2バック・1フロント」
2つ間を切って即、間を詰める動き
そこでしっかり準備の体勢を整えておき技に繋げていきます。
後の「危険ゾーンに侵入」にも当てはまりますが、一つ前に出る動きの中で相手の突きをもらっては元も子もありません。
上半身を後傾させ、危険を回避させながらステップだけ相手に近づけさせています。
これはどの巻だったか忘れてしまいましたが、月井 新先生の「競技の達人」シリーズで、間合いのマジックとして紹介されている内容と同じです。
中心軸は相手に近くあるが、後傾しているので相手の突きは届かないというロジックでした。
このステップ練習のポイントは、
”相手との足元は近くても、ちゃんと距離は保つ”
今回のセミナーの指導内容を基にもう一度、基本に立ち返りたいと思います。
Goodbye May!!