こんにちは!
Vol.10は先の攻撃力! ステルスパンチをマスターする (2020年1月号)
空手の技の中に分かっているけど、食らってしまうことは無いでしょうか。
その技が反応出来ないほど速いかというとそういう訳でもなく、、
今回月井先生が紹介する技は、「速い」ことではなく「気配を消す」ことにあります。
スピードにはいずれ目が慣れてきます。慣れてきますと、その技は通用しなくなりますが、気配を消すことが出来れば、慣れることはないので何度でも決まります。
それをステルスパンチと呼んでいます。
「確実に見えているのだが、その突きに反応が出来ない」
身体の使い方に相手が反応出来ない要素があるからこそ、分かっていても防ぐことが出来ません。
では反応出来ない要素とは何か。驚くことに、全て普段の練習で行っている基本の中に含まれています。普段、稽古で指摘されている点を注意して行えば、ステルスパンチに必要な要素を身につけることができ、容易にマスター出来ます。
まさに、「奥義は基本にあり」ですね。
①力感がない
いわゆる力みがあると簡単に反応出来ますが、力みの無い技は反応しにくい。ステルスパンチは、力を入れて突くのではなく、力を抜いて突きます。
特に、技のおこり(始動)の部分で、力感を無くすことが重要です。
②手から先に突きを出す
この突きは、足から始動するのではなく手から始動します。
手が先に始動して、身体が手についてくる感覚です。力感も無くなり、脇が開くことも無くなります。
人間は、肩口が動いた時に本能的に反応します。力が入っていると突きは肩から始動してしまいます。
③ステップを省略する
通常の突きは、前足を踏み込んで突く場合が多いですが、ステルスパンチは前足から踏み込むことをしません。
感覚的には、その場から後ろ足を寄せて突く感じです。よって、ドンっ!と前足で強く踏み込みません。
気配を消す術の会得法
①正しい姿勢
正しい姿勢は力みを取り、反応を早め、全身を使って技を出すことが出来ます。
正しい姿勢とは、適度に下半身が沈み、上体は下半身に乗り肩の力が抜けリラックスしながら、視線は左右平行に相手を観ている状態です。
下半身を低くするのは、ドッシリと構えることが目的ではなく速く反応し動くためです。
正しい姿勢で立つと、全身の力は抜けているのに、腹圧が自然にかかります。立った瞬間に、肩と膝の力が抜けていて、腹には適度に圧がかかった状態です。
②抜きで始動する
正しい姿勢で構えた状態から、股関節と膝、足首関節を瞬時に抜くことで突きの動作を始動させます。
瞬時に抜ければ力の溜めが無くなり、構えたところから余計な動作をせず、突きを始動出来ます。
③始動時に息を吸う
息を吸う事により、力みが消え余計な動作もなくなる。息を吸う事で腹圧をかけることができ、技のスピードと威力が増します。
④摘まむように突く
突きを確実に極めるには、突く感覚を持たないこと。突こうと思えば腕に力が入り、結果肩が上がり、脇が開き、スピードも落ちます。
目標とするところに、米粒がついているのを想像し、その米粒を摘まむように手を伸ばします。
摘まむイメージを持つことで、手から始動し肘と肩は手の後ろからついていく形になるので、結果的に肩は上がらず、脇も開きません。
ものを摘まむ行為は、肩口を動かさないので、突きの時にこれをイメージ出来れば、相手の反応を本能的に遅くすることが出来ます。
⑤後ろ足を寄せて、素早く足を継ぐ
後ろ足で床を蹴るのではなく、後ろ足を前方に寄せるが、その時に同時に突きます。
床を蹴らないことで気配が消えますので、相手にとって反応が難しくなります。
後ろ足と奥の手を同時に前方に出すようなタイミングを心がけます。
こんにちは!
Vol.9は苦手な技を克服する (2019年5月号)
-リーチの差に負けないスピードと技を身につける-
自分より体格差に勝る相手と対戦する場合、どうやってポイントを奪おうか当然考えます。
いつもと同じ戦い方では、手足の長い大きい選手の方が理論上有利です。
そこで課題になるのが、「相手の技をくらわずに自分の技を極める工夫」です。
「スピード」と「技」に絞って説明されています。
リーチの差に負けないスピード
(1)腸腰筋を鍛える
スピードを上げる方法のひとつに筋力をつけることとあります。踏み込んだ時のストライドを伸ばすためのトレーニング方法です。
一歩の移動距離が伸びれば、リーチの差を埋める事が出来ます。ここではジャンプ系のトレーニングをお勧めされていて、脚力とともに腸腰筋も強化出来るメニューです。
腸腰筋とは、姿勢の保持や脚を上げるための筋肉です。
単にスピード強化だけに留まらず、美しい姿勢を保つのも、この腸腰筋が大きく影響します。
①低くしゃがむ
②両手を大きく振って、高く遠くまでジャンプする
③着地は音を立てず、連続して飛ぶ
(2)手を伸ばしてステップする
攻撃の時は、ストライドを伸ばすとともに、腕も最大限伸ばすことを心がけると、到達距離はさらに伸びます。イメージは落ちて来たものをキャッチする感じです。
①組手構えで立つ
②前方に飛ぶ時に、手を伸ばす
③組手構えに戻る(上体をまっすぐに戻し、後ろ足を寄せる)
これを連続で繰り返します。
攻防の中で華のあるカウンター。相手は攻撃を仕掛けている最中ですから、防御の意識は欠如していますのできれいに極まる確率が高いといえます。
カウンターは大きく分けて2種類。
相手の攻撃をかわして極める「後の先」と、相手の出会いに合わせる「先の先」。
(3)相手に攻撃させる
まずカウンターを狙う場合、
・攻撃させたいところを意図的に空ける
・相手の攻撃の間合いに入る
のように相手の攻撃を誘発させる必要があります。
【突きのカウンター】
通常の構えから、相手の間合いに入るまで間を詰め、その時身体を後傾させ、後ろ足にほとんどの体重を乗せ、前足は母指球だけを床に着けます。
頭部は前進せず足だけ前進させます。要するに足は射程圏内、頭はギリ射程圏外です。
相手の攻撃に合わせ、懐に入って「先の先」で、中段逆突き。
間を切って、「後の先」での刻み突き。間を切る時は足で後退せず、後傾した上体を起こすと、適切なタイミングで突くことが出来ます。
【蹴りのカウンター】
①通常の構えから上体を前傾させ、上段突きを誘発する
②相手が突くのに合わせ、上体を後ろに倒しながら蹴りのカウンターを極めます
③もしも相手が攻めてこない時は、上体を後ろに傾けるのを利用して後ろ足を前に継ぎ、蹴りを極めます
時代の流れとともに、目まぐるしく変化(進化)する組手競技。
今もなお世界中で最新の技術を研究し続ける月井理論。
残りあと2本ですが、この「新設! 組手の基本」と「競技の達人シリーズ」から多くの知識を得られます。
熟読をお勧めします。
こんにちは!
Vol.8は30分で組手の不得意を克服する3つのステップ (2018年12月号)
中段逆突きが極まらない最も大きな要因は、
・届かない
・刻み突き等のカウンターを合わせられる
この2点を克服すれば、中段突きが極まる確率がUPします。
①自分の間合いを確認する
自分の距離、攻撃の間合いを知るには、相手の前拳を利用します。
自分の前拳を軽く伸ばして相手の前拳に触れることが出来る距離が、自分の間合いと言えます。
お互いに構えた距離では、隙を伺っています。ここから間を詰めて前拳を触りに行きます。
②手を引かず、手に身体を寄せる
相手の前拳に触れた手を、引き手を取ってしまうと身体が空いてしまいカウンターをもらいやすくなります。更には前進しようとするのに、身体の一部を引いてしまうと、前進の距離も短くなってしまいます。
だからといって、全く引かずにいても腰を切ることが出来なくなり技に勢いがなくなってしまいます。
引き手は手を引くのではなく、逆に前の手に身体を寄せるイメージを持ちます。
突く側の肩を目標にぶつけるようにすると、相手の突きが抜けて行き、上段突きを極められる確率が減ります。
③間を切って反撃を断つ
たとえ突きが極まっても相手に反撃を許してしまえば、まだ失点のリスクは残ります。突きを極めた後、確実に反撃を断つには引き手が重要です。
突きを極めた後すぐに脇まで拳を引くことで、再び相手に対し真横になり、自分の的を小さく出来ます。引き手を使って素早く後退し、相手の技が届かない間合いに身体を置くことが出来ます。
しっかり引き手を取れれば、引く力で前足を掻い込んで蹴りへのコンビネーションに繋げることも容易です。
引き手は相手の反撃を断つだけでなく、次の攻撃に移る時でも効果を発揮します。
【逆体相手】
逆体がやりにくいのは、「逆体に慣れていない」ことが最も大きな原因です。
構えが逆になると、技も間合いも別物になります。
・前拳が使いにくい
刻み突きの軌道上に相手の前拳があるので刻み突きに入りにくくなります。
・後ろの拳が遠い
逆体相手の時は、逆突きの距離は拳1ケ分遠くなってしまいます。
①肘を触って突く
スムーズに前足から前進し、肘に触れながら突きます。この時、相手の肘の外側を触るようにすると、押っつけながら入ることができ、相手は対応が出来にくくなる。
②股関節を外旋させる
踏み込む時に股関節を外旋させてつま先を外に向けます。前足がマットに着く前に突きが極まることが望ましいです。この突き方で距離が飛躍的に伸びます。
股関節を外旋させると、拳が勝手に飛んでいきますので、相手にとって通常の突きよりも反応が遅れます。
③腰を回さないで突く
腰を切って正面を向いて突くと、自分の身体が開いてしまいカウンターを合わされやすくなりますが、この突き方なら始動時から残心を取るまで、身体が正面を向くことがありません。
注意すべき点は、構えたところからまっすぐに突き、鉤突きのように肘を張って突かないことです。
松濤館流の山突きに似た、腰を回さない上段逆突きですね。
【蹴り技】
①軸足を外旋させ、つま先を後ろに向ける
身体を開かないための練習として、蹴る前に軸足のつま先を蹴りとは反対方向に向けます。
つま先が横を向いたまま蹴ると、身体が「く」の字に曲がるので注意が必要です。
自分から蹴る場合は、軸足を身体の中心に寄せるが、この時に足全体を寄せるのではなく、踵を素早く寄せる意識を持ちます。
②膝の掻い込み相手のガードを無効にする
掻い込みによって中段を防御し、相手の前腕を構えたガードの無効化を図ることが出来ます。
前足刻み蹴りの時に、相手の前腕に触れずに上段を蹴る事が可能になります。
③突きながら蹴る
後ろ足で蹴ってもカウンターをもらわない方法です。
足を掻い込むと同時に、同じ側の手を突きながら蹴る方法です。タイミングとしては、突きを若干先に出すようにして、突いた腕の下に自分の膝があるようにします。
注意点は、蹴った足は正面に下ろさず、相手の外に着地させることです。そこに位置取りすることで、相手の反撃を断つことが出来るからです。
こんにちは!
Vol.7は逆突きのパラドックス & 魔法の刻み突き (2018年4月号)
パラドックスとは、一般的に「正しい」と思われていることに反する事柄を指します。
①腰と肩を90°以上回す
身体をしっかりと回して腰と肩が目標に向かうように突く
②腰と肩を90°回す
基本の突きのように身体が正面を向いた時に突きを極める
③腰と肩を一切回さない
身体を一切回さず、真横を向いたまま手を伸ばして突く
この3種類の突きを遠くまで届く順に並べると、① →②→③と答える方が大半だと思います。
ところが、月井先生の答えは③→②→①の順です。
身体を回せば回すほど、突きが届く距離は短くなると説明されています。
次に威力のほどですが、ミットを叩いた時の感触では、やはりこれも③→②→①の順のようです。
そして最も重要な、「相手が反応しにくいか」どうかですが、③→②→①の順です。
腰と肩を回さない突きのコツ
①構えたところからまっすぐに突く
構えたところから、円軌道では無く直線軌道で突きます
②構えを動かさない
身体の回転を伴う突きは、必然的に前拳の構えを引いてしまいますが、この逆突きならば身体を回転させないので、前拳はそのままで突くことが出来ます。
③肩口を見せない
突く手の側の肩口を相手に見せないように突きます。その時、肩が上がらないように。
④つま先と足裏に気をつける
カニ構えで相手に対し真横に構え、突く時につま先の角度を変えずに、足裏を下に向けたまま突きます。
反応出来ない刻み突き
刻み突きは、全ての技の中で最も早くリスクの少ない技です。相手に一番近い位置にある前拳で突き、逆突きのように身体が正面を向くことがありません。
それでも技の「おこり」を捉えられれば、中段に潜られるか、突きを叩き落とされてカウンターをもらってしまいます。
その刻み突きのリスクを限りなくゼロに近づける方法です。
①斜め下から突く
高い構えから直接相手の顔を狙うと、ダッキングされるか潜られてしまいます。ところが、構えを下げたところから斜めの軌道で突くと、容易に極めれるとあります。
これは、斜め下から突くことで懐に潜ることが出来ず、相手の反応が遅れてしまうから。
前拳を下げることで重心が落ち、肩がリラックスするので相手の反応よりも速く、しかも遠くを突けるようです。
初めからこの構え方に慣れてしまうと、得点を奪う前に失点を重ねやすいと思います。
基本あっての応用といったところでしょうか。
②鎖骨を滑らせる
相手が逆体の場合、前拳や肩が邪魔になり斜め下から刻み突きは出しにくくなります。このケースでは相手の顔を狙うのでは無く鎖骨の上を滑らせるように突きます。
相手の鎖骨を意識するだけで、外を容易に取る事が出来るので、刻み突きだけでなく、全てにおいて自分の距離と立ち位置で戦うことが出来るようです。
刻み突き → 上段逆突き (ワンツー)
刻み突きは斜め下から突いて、ステップは踵から入ります。身体は回さずに踏み込んだ足が着地した時に逆上を極めます。
このタイミングですと、二歩分の距離を一歩で、連続の突きを単発の突きと同じタイミングで突くことが可能となります。
通常ならば二歩必要なところを、一歩で突くって訳です。
まさにスピードドラゴンのあれですね。
こんにちは!
全日本空手道連盟から購入しました。240ページもの大ボリュームです。
指導者向けの教範です。空手道の歴史や全日本空手道連盟の成り立ち、指導者の役割と責任、空手道における運動生理学、体力トレーニング方法、外傷・障害の予防と応急処置、メンタルマネジメント、空手道の礼法、基本技術及び応用技術が記されています。
空手道が琉球国から本土に入ってきた歴史の紹介から始まります。
全空連の歩みでは、1964年の東京オリンピックを契機として、各流派の間で大同団結の気運が起こり、結成されました。全空連の使命は、空手界に統一的な秩序を与え、健全な発達を促進するとあります。
指導者の資質は、子供達に「次回への意欲」を持たせるとあります。「また明日も来よう!」・「また来週も頑張ろう!」という気持ちにさせることを「次回への意欲」と定義しています。
反対に「人間の意欲を損なわせる言動」がたくさんの事例で紹介されています。注意せねば。
空手道に必要な体力要素は、組手と形で異なります。
組手競技では、比較的緩やかな動きの中で、激しい攻防が繰り返され、「瞬発力」「敏捷性」「巧ち性」が重要と記されており、突きと蹴りのコンビネーションによる「協応性」も必要です。
形競技では、組手同様に「瞬発力」「敏捷性」に加え、仮想の敵が複数である為方向転換も多く、バランスを崩さないためにも「平衡性」が重要です。
また、各関節の可動域が大きいと余裕を持って技を出せるため「柔軟性」も欠かせません。
上記要素を高めるトレーニング方法や、ウォーミングアップ / クールダウンが紹介されています。
イラストと文字でたくさん紹介されていますが、動画で欲しいと思いました。
次は外傷と応急処置ですが、京都で学んだRICE処置です。冷えピタみたいなのを常備しといた方が良いのかな。捻挫したらすぐ冷やさないけませんね。
安全管理に関することが、事故の事例を基に記されています。
試合中のメンタルマネジメントでは、
①平常心で臨む
②勝敗を意識しすぎないこと
③冷静に燃える
④勝ち急がない
⑤慎重になりすぎない
⑥油断は禁物(3つの油断に注意すべし)
⑦臨機応変を忘れずに
⑧最後まで諦めない
⑨気持ちで相手を威圧する
⑩もし緊張が生じたら
詳細に記されていました。
そればかりか、試合別のメンタルマネジメントまでも。
①第一試合(予選)の心得
②優勢な試合での心得
③劣勢な試合での心得
④初めて出場した場合の心得
⑤決勝戦での心得
ふむふむ。
状況に応じた、適切な声かけが出来るようにしたいところです。
最後に、空手道の礼法と基本技術です。
座礼や正座からの立ち方が載っていたり、流派別で立ち方や受け技、突き技、蹴り技が紹介されています。歩幅や爪先の角度まで詳細に説明されています。
常に高い、倫理観を持って人格を磨くとともに、技術の研究・心身の練磨に励み指導者に相応しい人格者で、社会から尊敬される人でなければならない。と締めくくられています。
ハードル高いです、、