谷派空手道修交会心武館
神戸ゆり道場

形稽古により集中力を養い、組手稽古を通じ強い気持ちと
相手を思いやる心が芽生えます。

ブログ

2025-08-10 18:50:00

イリーナ・ザレツカ チャンピオン組手セミナー -反応の分析で危険ゾーンを完全コントロール!- 2/4

こんにちは!

 

昨日から9連休がスタートしています。

仕事も空手も無いと既に今日が何曜日か分からなくなってしまいます。

空手周りでやらないといけないことは、ひと段落ついたのでボチボチですがブログの方も頑張ろうかな。

 

 

ザレツカ (2).jpeg

 

4・反応と打ち込み練習(構え→気合→残心)

5・相手の反応を見て技をチョイス

6・危険ゾーンでのカウンター攻撃

 

 

反応と打ち込み練習(構え→気合→残心)

ここから実際の打ち込み。

ペア練に入っていきます。

台の人が左右上下にランダムで手を差し出し、そこに打ち込む練習。

どこの道場でもやってるメニューかと思います。

少し異なる点は、互いに真身で立ち自分は軽く上下に身体を揺らします。

台の人がパッと左右どちらかに手を出した瞬間、組手構え。

この時の構えだしの速さと強さがポイントです。

もうひとつ大事なこと。

構えた瞬間にゾーンに入らないこと。

前拳、前足は相手と接近していますが、身体を後傾させ突きが届かない位置に上体を倒すこと。

なんとなく構えて、顔が相手の近くにあってしまっては突きをもらってしまうからです。

反応が問われるのは、台の人の手が挙がった瞬間だけ。

ここで相手の出方を伺います。

顔を安全圏に置き、瞬時に見抜きます。

それでも一瞬の判断ですが。

これまで道場では突きまでをワンセットで反応の意識づけしてましたが

「相手の動きを見る」

ここを重要視されています。

ただ間を空けるだけでなく、ディフェンシブに観察しアクションに繋げています。

もちろんプレスも強めで。

これを刻み突きと中段突きの4方向でランダム練習されています。

 

 

相手の反応を見て技をチョイス

これから行う練習でやってはいけないことを始めにメッセージ。

「何となく相手に接近する」

「何となく技を仕掛ける」

これらをしてしまうと、カウンターの餌食になるとアドバイス。

この「何となく」をしない前提でセミナーは進んでいきます。

 

 

ひとつ上のチャプターで「観る」動作をひとつ挟みましたが、ここから応用練習です。

今度は互いに組手構えを取り、攻撃側がプレスをかけていきます。

一つ目のパターンは、台の人がプレスにあえて反応しないケース。

この状況は要するに絶好のチャンスを意味します。

自分の仕掛けに相手がついて来れていない状況。

①プレスをかける

②上体を後傾させ相手のリアクションを観察

③ノーリアクションなら即座に攻撃

この流れです。

大事なのは②と③

判断と次のアクションまでの仕掛けの速さ。

 

次に相手がアクションしてきた場合。

①プレスをかける

上体を後傾させ相手のリアクションを観察

③相手が誘いに乗り中段突きを仕掛けてくる

④素早くバックステップすると同時に前拳でガード

⑤ステップインして逆上

 

パターン練習でどう動くか身体に染み込ませランダム練に移ります。

相手を動かしカウンターを取る練習です。

大事なのは顔は安全圏に置いておくこと。

競技の達人でおなじみ月井 新先生もこれを「距離のマジック」と表現し四股立ち構え(カニ構え)を推奨されています。

余談ですが、後ろ足を相手方向に向けて構えて立つと「距離のマジック」は身体が後方へのけ反るため発動しません。

四股立ち構えの利点は、上半身の傾き方ひとつで相手との距離を自在に操れることと、後方へバックステップしやすいことです。

後ろ膝を前に向けると構えると、間を切りたくても膝がつっかえてバックステップが遅れてしまうデメリットが生じます。

 

イリーナ選手も四股立ち構えから上半身だけを巧みに操り後傾させ相手の動きを伺っています。

顔が遠くにあるから失点リスクが減り安心して戦えるとのことです。

 

この練習のポイントはコレ。

相手の懐へ侵入して、相手の攻撃を誘う。

ノーリアクションなら即座に自分から仕掛ける。

相手が誘いに乗ってきたら、バックステップで間を切りながら相手の攻撃を防ぎステップインしながらカウンター。

 

どちらも共通事項は、

1・下半身からデンジャラスゾーンに侵入(プレスは強め)

2・上半身を後傾させ安全圏へ

3・安全圏から相手の動きを観察

4・出入りと反応はスピードを上げる

 

 

「観る」

相手と相対する組手競技の中で、動きを見てアクションすることはスピード勝負の競技において恐怖すら感じることかも知れませんが、イリーナ選手は上半身の使い方ひとつで相手との距離をキープ出来るので心配ないとアドバイスされています。

落ち着いて観察すること、出入りの反応の速さ

 

相手が何を狙っているか、

相手の攻撃を観ることが出来たら、

自分は次のアクション(避ける・突く・蹴る)を選べる

理にかなった指導内容で勉強になります。

 

 

危険ゾーンでのカウンター攻撃

何で相手に近寄る必要があるのでしょうか。

何であえて自分を危険な距離に近寄らせる必要があるのでしょうか。

相手は自分からポイントを取りたいと思ってるはず。

中途半端な距離(中間距離)だったらカウンターもらいにいくようなものなので誰も攻撃しません。

デンジャラスゾーンに侵入することで相手の技を引き出します。

それに対してカウンターを狙えるわけです。

近い間合いだと相手は攻撃したくなって攻めてきますのでポイントを奪いやすくなります。

構えて、止まって、相手のリアクションを観て、反応する

 

そのためには自分を危険な場所に身を寄せなければいけない。

 

誘いに乗ったペア相手は全力フルスピードの刻み突き。

自分は逆上で互いに本気でやってます。

 

正面衝突する空手だと、先に仕掛けた方が推進力のチカラで打ち勝ちますが、間を切る(ガードしながら)ことでしっかり相手の攻撃を回避できるので、例え相手が先に仕掛けて来ても得点には結びつきません。(次の自分の攻撃でポイントを取ります)

この練習の大事なポイントは相手に攻撃をさせること。

デンジャラスゾーンに侵入することです。

 

稽古の中では実践と同じくらい近寄らないといけない。

もっともっと近寄って(侵入して)一本いっぽんを本気で取りに行くような稽古を重ねてください。

練習は勝つも負けるも関係がないので、どんどん積極的にトライすることが大事。

低いレベルでやっても意味がないので高いレベルで練習してほしい。

 

もっと間合いを詰めて!

もっと速く出入りを!

厳しくも愛のあるアドバイスでした。

2025-05-31 19:36:00

イリーナ・ザレツカ チャンピオン組手セミナー -反応の分析で危険ゾーンを完全コントロール!- 1/4

こんにちは!

 

ザレツカ.jpeg

 

2022年10月29日、日本空手道会館で開催されたセミナーの様子をご紹介します。

本セミナーには東京2020オリンピック女子組手61kg超級で銀メダルを獲得した、アゼルバイジャン出身のイリーナ選手が登壇されました。

また、同大会で対戦経験のある植草歩選手もサポートとして同行され充実した内容となりました。

収録時間は2時間弱と大変ボリュームがありましたので、全4回に分けて内容を詳しくご紹介していきたいと思います。

 

 

1・ウォーミングアップ

2・フットワーク

3・構えてのステップワーク

 

 

ウォーミングアップ

道場内をジョギングで何周か回った後、高くて大きなサイドステップを3回。

その後すぐに素早いサイドステップを3回行いました。

さらにスクワットジャンプや、号令に合わせて近くの人とランダムにジャンプしてハイタッチする動きも加わり楽しくも活発な雰囲気に。

ジョグは継続しつつ突然の号令で「伏せ」の動作が入るなど、反応力を養うトレーニングも行われていました。

なお、反応が遅れた子どもには腕立て伏せ3回の軽い罰ゲームがあり全体としてメリハリのある楽しいウォーミングアップでした。

 

 

続いては一列に並び、以下のアンクルジャンプ系のドリルを行いました。

 

① 前後および左右のアンクルジャンプ:

リズム良くバネを使いながらジャンプし、足首の強化とバランス感覚を養います。

 

② その場でアンクルジャンプ3回 → 素早く前屈立ち → ダッシュ:

瞬発力と素早い体の切り替えを目的とした練習です。

 

③ 足の入れ替えでしっかりと止まる練習:

動作後にピタッと静止することで、コントロール力と体幹を鍛えます。

 

④ ダッシュは「一歩目を速く」:

初動のスピードを意識することで、試合でのスタートダッシュに繋がります。

 

 

【フットワーク】

次は腕を脱力しだらんと下げた状態でその場ステップを行い、号令に合わせた瞬発的な動きの練習です。

① ひとつ目の号令で「ダッシュ」の構えに入る

② ふたつ目の号令で実際にダッシュする

 

この一瞬の切り替えが重要で動きに“メリハリ”をつけるトレーニングです。

試合中、フェイントの後に技を出す際の動きに非常に近い感覚を養います。

 

また道場でのラダートレーニングでも時折登場する「ニーホップ」にも挑戦しました。

① ニーホップに逆突きを加えることで、手と足のリズムが異なる複雑な動きを学びます。これは運動センスを磨くのに非常に効果的です。

② タイミングの異なる2種類のニーホップ

③ 回し蹴りの動作に合わせたニーホップ

④さらに、もう片方の膝を使った後ろ回し蹴り風のニーホップにも挑戦

 

これらを繰り返すことでリズムを掴み、将来的に後ろ回し蹴りの習得にも繋がるかもしれません。

最後はリズムを「1・2・3」に分けての応用:

①「1」と「2」で左右のニーホップ

「3」で後ろ回し蹴り風のニーホップ

 

普段あまり経験できない独特なリズム感を体験できる、とても面白いトレーニング内容でした。

 

 

構えてのステップワーク

ここから組手の動きが入ってきます。

組手構えからのフットワークです。

イリーナ選手の構え方と道場で指導する構え方は同じ。

1・膝を軽く曲げてタメを作り

2・前拳は顎の高さをキープ

3・もちろん真半身で構え

4・常に目線は相手に向け

5・腰の高さは常に一定で

6・両つま先はㇵの字方向

7・動かすのは足首だけ

 

基本通り数本こなし、次は "緩急" をつけ加えていきます。

前進する動きの中でプレスを入れたりしています。

どちらか一方の足ではなく、両足で強くプレスかけるようにアドバイスです。

4つ小刻みに前進し5つ目でプレスのイメージです。

 

今度は前述の内容にプレスを2つ連続で。

これも両足でプレス。

足を差し違えてはいけない事と腰が浮かない事。

 

次はワンステップで後ろに下がるフットワーク。

これも4つ小刻みに後退してバックステップ。

共通して言えることは両足を同時に扱うことと、軸を中心に保つこと。

動きの中で軸を保つのは容易ではありませんが、軸がブレてしまうとバックステップで間を切っても即座に攻撃出来ません。

前後左右に身体を動かしても、常に戦う準備が出来ていることが大事とアドバイスです。

 

足を差し違えて歩くような感じのフットワークでは "準備" が出来ているとは言えません。

基本に忠実に何度でもステップの練習を繰り返して身体に覚え込まさなければいけません。

 

次のステップワークは前後です。

小刻みに4回前進し大きく(速く)2つ前進、間髪入れずに一つだけ大きくバックステップ。

これが後に指導される、危険ゾーンに侵入する動きです。

前と後ろの切り替えしスピード。

ここで一泊、間が空いてしまうと理想とするやりたい組手が出来ません。

イリーナ選手は速さはもちろんのことプレスが強い。

動きにモーションが無いので、一瞬で間合いを出入りする感じです。

力感を感じさせませんので、相手からすればフッと目の前に接近される感覚を覚えるんじゃないでしょうか。

理想的過ぎるステップワーク。

 

前後にステップしてますが、組手なので素早く攻撃に繋げなくてはいけません。

2つ間合いを詰めて相手をおびき寄せ、相手が釣られて前に出てきたところをバックステップで攻撃を回避。

そのあと間髪入れずに自分の攻撃をヒットさせています。(この時準備が出来ていないといけない)

 

いくら仕掛け(プレス)が速くても、下がり(防御)が遅いと相手の攻撃を被弾します。

常に軸は一定という訳ではなく、ディフェンスする時、上半身は "やや後傾" とのこと。

 

今度は「2バック・1フロント」

2つ間を切って即、間を詰める動き

そこでしっかり準備の体勢を整えておき技に繋げていきます。

後の「危険ゾーンに侵入」にも当てはまりますが、一つ前に出る動きの中で相手の突きをもらっては元も子もありません。

上半身を後傾させ、危険を回避させながらステップだけ相手に近づけさせています。

 

これはどの巻だったか忘れてしまいましたが、月井 新先生の「競技の達人」シリーズで、間合いのマジックとして紹介されている内容と同じです。

中心軸は相手に近くあるが、後傾しているので相手の突きは届かないというロジックでした。

 

このステップ練習のポイントは、

”相手との足元は近くても、ちゃんと距離は保つ”

 

 

今回のセミナーの指導内容を基にもう一度、基本に立ち返りたいと思います。

 

Goodbye May!!

2025-03-20 15:19:00

荒賀知子のHIGH SPEED LESSON -体幹・スピード・技術のレベルアップ編- 2/2

 こんにちは!

 

荒賀知子セミナー.jpeg

 

セミナー後編は基本に沿った技術指導に突入です。

ひたすら基本を磨き上げる作業に徹しています。

荒賀 知子先生が小さな頃から、基本を大事に指導を受けていたのが十分伝わる程の拘り方です。

 

 

3・速さを手に入れる組手技術のスピードトレーニングとその意味 ・刻み・逆突き・ワンツー・スライドを使った蹴りなど

4・荒賀式の考え方と質疑応答

 

 

速さを手に入れる組手技術のスピードトレーニングとその意味 ・刻み・逆突き・ワンツー・スライドを使った蹴りなど

荒賀道場で培った練習体系。

スピードが上がった秘訣を伝授されます。

ペア相手と前足が触れ合う程度の間隔を取り、20本交互に中段突きを全速力で突いています。

道着をかすめるように寸止め。

ペア相手は前拳を相手の顔に向けておくこと。

 

荒賀先生の中段突きは自身の前拳で相手の刻み突きを払いながら入る方法を取れれています。

当然、刻みで失点をしないためですが、欠点は突きの威力が半減してしまうこと。

半減する事に捉われずスピードで補う意識で「強く」「速く」と指導されています。

突きもその場で突かず、前足を前後にフルスピードで動かしながらです。

 

同様に刻み突きも。

奥側の拳は反動で開かないこと。

なぜ奥の拳が開くとダメなのか?

例え刻み突きが抜けたとしても胸元に残しておけば追撃が出来るから。

 

刻み突きの入り方でひとつ面白い指導が。

前足を真っ直ぐ相手にぶつける入り方がセオリーですが、前足のアウトエッジを相手にぶつける入り方です。

身体が完全に半身になることにより、刻み突きの距離がさらに遠くに伸びます。

また腰も強く入れることが出来るので、全身のチカラを拳に伝えることが出来ます。

 

真半身で突く利点は伝えていますので、道場生は理解出来ていることと思いますが、足元の向きまで変えてしまうことは全く意識していませんでした。

収穫です。

 

胸だったら胸。

喉だったら喉。

顎だったら顎。

1点集中でフルスピード且つパワフルに20本*3セット突きまくっています。

 

荒賀先生の言う「全力」とは、20本全力で突き終わったら倒れるくらいを指します。

要するに一つひとつのメニューを全力で行い、あとの体力を残さないように取り組むという意味です。

 

 

次ワンツーです。

足のタップは2回鳴らしても良いし1回でも構わないとのこと。

1(刻み)・2(逆上)と突いていては、ワンとツーの間を抜かれます。

可能な限り間を無くすこと。

 

 

「刻みを追いかけるように逆上を伸ばす」

これはどの道場でも共通事項だと思います。

 

「これしたらアカンで!」

「2個同時についたらアカンで!」

テンションが高まってくると自然と出てくる関西弁。

親近感湧いてきます。

 

グルグルと周りの稽古を見渡しアドバイスされています。

スピードに乗ったワンツーしている人がいますが、上体が大きくブレています。

モーションが大きくなるので注意。

顎もしっかり締めて。

 

改めて荒賀先生が高速ワンツーのお手本でした。

 

突きの後蹴りに移ります。

前足での刻み蹴りでした。

 

突きは身体を動かさなくても素早く出せますが、足(下半身)は身体の中でも大きなウェイトを占めています。

なので動こう(蹴ろう)とすると、相手は気づきます。

対戦相手は人形じゃありませんので、蹴りの気配を察知すれば避けるか詰めるかのどっちかしてきます。

気づかれないように蹴らないといけませんので、突きよりも極めるのが難しいのでポイントも高い訳です。

突きもそうですが、モーションを無くした蹴り方をマスターしないといけません。

なので寄せ足はせず、送り足が使えないといけません。

上体の構えは崩さず、前足主導で蹴る。

蹴りに入る瞬間、力んで身体が開く生徒も居ますが、これすると相手に気づかれます。

モーション無くすと相手は反応が遅れる。

遅れると自分に有利になる。

ペア相手はノーガードでお腹をさらけ出し、送り足での刻み蹴りをフルスピードで出す練習方法を指導されていました。

 

これ練習せなアカンな。

 

この蹴りの目的は4つあります。

・中段蹴り技有り(2ポイント)を狙う。

・間合いを伺い入ろうとする相手をけん制する動きに使う。

・刻みで獲ろうとする時の撒き餌に使う。

・相手の意識を上と下に散らす。

 

相手が「行こう!」とする瞬間、前で合わされたら容易に入ってこれなくなります。

「前で潰す」

 

突き技は自分の手が届くところまで接近しないとポイントにはなりません。

自分の手が届くという事は勿論相手の手も届きます。

突かれるかも分からない距離まで接近するのは当然リスクも伴いますので、送り足の刻み蹴りで間を詰めるのが有効です。

腕は射程の外から伸びてくることはありませんが、蹴りは軸足の使い方ひとつで突きよりも外の間合いから入ることが出来ます。

蹴りの利点を上手く使った駆け引きのひとつと言えますね。

勉強になります。

映像を観て内容を理解し文字化する事で、さらに強くインプットされます。

学びを次の稽古に活かして生徒を育てなくてはいけませんね。

 

中段蹴りを狙う位置についてですが、相手の構えた腕を蹴ってもポイントにはなりません。

構えた奥拳と帯の間を「なにくわぬ」顔で目線を下げず蹴ること。

帯より下は反則ですので要注意。

 

送り足に慣れてきた頃足を見て、距離を伸ばします。

足上げても届かない距離まで間を広げて、強く床を噛みながら軸足のスライドを使います。

 

 

前で足を引き上げるような意識ですね。

腸腰筋鍛えて足の引きつけを強くする必要があります。

 

要点は3つ

①構えを崩さない(モーションが生まれる)

②寄せ足しない(2挙動になり遅れる)

③真半身(腰を捻って蹴るので)

 

別にポイントにならなくても、刻み蹴りで牽制出来れば相手は入って来にくくなり試合の主導権を与えません。

60秒間の中でリスクを伴う攻め一辺倒にならず、相手の嫌がることを挟むことで試合のイニシアチブを掴むことも有用です。

なにより、相手の入りを察知出来る反射神経があっての話ですが。

 

ペア練では、この刻み蹴りを後ろに下がりながら連続して蹴っています。

下がり過ぎず詰まらずに蹴り手のストロークに合わせながら上手くタイミングと距離を合わせてあげる能力も必要です。

 

 

次の指導は「蹴りの組手」

ルールはこんな感じ。

・攻撃は蹴りのみ

・互いにひとつずつ技を出す

・両手でガード

・逃げて受けない

 

「打って捌いて」をリズミカルに行います。

 

 

蹴りって怖いけど、逃げるから当たると痛い。

前で潰すと相手の方が痛いので前に入ろう!

蹴りの威力が一番増すのは足が伸びきった時なので、その前に前で潰すと蹴った方の脛が痛いよ。

「蹴りの恐怖心で顔を背けるからもらう」

 

このようなアドバイスです。

 

突き指にだけならないよう、気をつけながら左右の足でいろんな蹴りを出す練習でした。

これも間を置かず交互にリズミカルに、しっかり両手でガードしながら相手の目を見ながら行います。

蹴ってくる足を見ると絶対に遅れますので、相手の目を見て蹴りを受ける。

 

相手の目を見ていればどこを狙った技かが分かるとのこと。

これもやらないといけないメニューですね。

2人組となり30秒高速で行っていました。

 

今度は3人組となってのスピード強化メニュー。

自分が中央に位置し、半歩踏み込む程度の距離に前後に台が組手構え。

これを30秒間高速で突きまくります。

利き構え / 逆構え

これで行います。

 

遠心力で自分の身体がフラフラしてしまいますが、フラフラしないように。

焼き鳥の串がぶっ刺さった状態且つ頭の高さも変えないこと。

顔の振り向きが遅いと「次」の技に移れませんので、ここも意識するポイント。

 

 

同じ3人組で上段刻み蹴りも収録されています。

同じように前後に配置し自分は真身の姿勢で、左右に対し前足で刻み蹴りでした。

 

今度は上段回し蹴りを足を入れ替えながら振り返って高速で蹴ります。

 

 

【荒賀式の考え方と質疑応答】

1・今日の内容は基本に沿ったものばかりだが、一足飛びには自分の身にはつかないから。ウィービングや裏回し蹴りのような難しい技は基本が出来た上でのこと。

2・保護者の厳しさはかなり重要なことで、厳しく育ててもらったからこそ今の自分があると感じている。親も子に徹底して厳しくしてあげてほしい。

3・表彰状の一番高いところに立った人にしか分からないことがあるよ。

 

Q1・「練習が厳しい分、大会は楽しんで」と指導者は言われるが大会を楽しむためにはどうすれば良い?

A1・勝つ喜び・負ける悔しさを知ったのは大学生の時。親元を離れて自分のチカラ、自分の考えで勝つことを考えだしてから、一戦一戦勝てる楽しみを見つけました。

 

 

Q2・大きな大会や試合に勝つためには練習以外には何が必要?

A2・ 練習が一番大事なのは当然ですが、いくら技術を磨いてきても当日緊張で身体が動かないとかプレッシャーやストレスで自分が負けてしまっては何の意味も無いと思います。

それをどう上手く逃がすかだと思います。「やる時はやる・遊ぶ時は遊ぶ・休む時は休む」メリハリが大事です。

 

Q3・大会で優勝した後に次の大会へ向けてはどの様にモチベーションを保つのか?
A3・「負けを受け入れること」

ある年下のライバルに負けた時、負けを引きずっていたり負けを認めたくなかった自分がいた。2年かかったが自分の足りない部分、劣っていた部分を受け入れそこを克服することに意識を置いたらモチベーションを立て直せた。

 

 

今回のセミナーは基本の徹底といったところでしょうか。

基本が出来ていないと応用も効きませんので、小学生の内にしっかりと土台固めをするべきでしょうね。

2025-03-13 16:15:00

タナス・フラッシュ Vol.3 -HOW TO TZANOS SEMINAR- 5/5

こんにちは!

 

タナスセミナー3もいよいよ最終回となりました。

収録時間が2時間もありましたので、細かく分けざるを得ませんでした。

ブログを書ききるのに少なくとも5倍は時間費やしてるかな。

 

タナスフラッシュ3.jpeg タナスフラッシュ3 (2).jpeg タナスフラッシュ3 (4).jpeg

 

 

13・投げ

14・脚を抱えて投げる

15・投げの自由攻防

 

 

【投げ】

練習のポイントでは、

①腕を使う

②足、膝を使う

③フェイントを使う

間合いによって、投げを使い分けるとあります。

 

ルール変更前のセミナーですので、今では両手で相手を掴んでは反則となりますので内容はサラッと流します。

正体・逆体で向かい合い、片手は相手の襟・もう片方の手は相手の肘あたりを掴み、捻るように投げ「転がせて」います。

相手が体格で上回り容易に転がすことが出来ない場合、前足を刈りながら転がせます。

奥襟を斜め上に、袖口を内側に引き回転させています。

 

間合いが近い場合、相手の腿裏を膝で掬いあげ身体を浮かせて投げています。

現行のルールでは両手掴みはNGだし、旋回軸が腰よりも上にあれば反則です。

 

タナス選手が右に投げようとし相手選手が踏ん張った瞬間反対側に転がす技術はさすがでした。

 

 

脚を抱えて投げる

相手の足を抱えて投げる。

さまざまな状況、技のバリエーションを身につける

 

相手に近間で掴まれたとします。

「相手の持ち手をかがみながら外し足を取ります」

そのまま相手の片足を抱え込み投げに移っています。

自分の肩で押し込んで前に転がせたり、相手の軸足を刈って転がせています。

 

相手の刻み突きに素早くダッキングして足を取る練習方法をレクチャーされていました。

相手の内側から足を掬うと簡単に持ち上げられます。

 

 

投げの自由攻防

”相手の上体を崩したり足を内外からかけたり様々なことを試しながら練習する”

 

1分間、遊びの中でフリーで投げ。

習ったテクニックを全部使いながらフリーしてます。

足を内側・外側からかけたり、腕を捻ったり、膝で抱えたり、肩で押したりといった具合。

 

互いに両手で掴んだ状態で、密着した時・腕を最大限伸ばして足で攻防したりいろんな事を試しています。

 

投げは自分がリラックスした状態であること。

相手が疲れた頃合いを見て自分の技術を出すと仰っていました。

 

小学生には投げがありませんし、現行ルールで「投げ」は片手且つ投げる瞬間に一瞬だけ掴みOKなので、サラッと書く程度にしておきます。

2025-03-11 00:15:00

荒賀知子のHIGH SPEED LESSON -体幹・スピード・技術のレベルアップ編- 1/2

こんにちは!

 

荒賀知子セミナー (2).jpeg

 

2011年7月に開催された荒賀知子先生によるセミナーです。

反応速度や反射神経が絶対に必要な組手競技。

そんな競技力を向上させるセミナーの様子を収録したDVDです。

・スピードをつけたい

・飛び込みの速さを高めたい

道場稽古に取り入れやすい内容になっているんじゃないでしょうか。

 

 

1・速さを手に入れる稽古の約束とダッシュ・ジャンプレパートリー

2・速さのための基本稽古とその意味

 

 

速さを手に入れる稽古の約束とダッシュ・ジャンプレパートリー

セミナー開始前に荒賀先生から簡単な挨拶があり、約束してほしい事が2つありました。

1・行動を早く

2・大きな返事

 

この2つは空手が上手い下手関係なく、今すぐにでも誰にでも出来ること。

これが守られなければ、何度でもやり直しさせると宣言されていました。

集合は駆け足、防具の用意もダッシュ、返事をするのも当たり前。

小さな子供に理解を求めるのはまだ難しいかも知れませんが、貴重な時間と費用をかけて学びに来ています。

本気で取り組んでる人、上手くなりたい気持ちが強い人は行動に表れますよって事ですね。

 

 

終始関西弁で話す荒賀先生。

全員で体育館を軽くランニングからスタートしました。

・ダッシュ

・後ろ向きダッシュ

・うつ伏せダッシュ

・サイドステップ

・スキップ

・後ろスキップ

・20回足バタバタダッシュ

・10回腿上げダッシュ

・5回抱え込みジャンプ

・足の指だけ歩き

 

ここからペアでアップに移ります。

馬飛びして下を潜るのをフルスピードです。

次ペア相手がダンゴ虫のように小さくなった上を左右にジャンプ。

この時、反動をつけず連続ジャンプ。

既にスピードトレです。

これを20回連続でピョンピョン飛ぶんですが簡単に見えてなかなか難しいと思います。

 

次がもっと難しく同じ要領で前後に飛んでます。

足が引っかかって転びそう。

 

今度はペア相手が長座の姿勢で座り、自分が立って跨ぎます。

そこからグーパーの要領で連続で100回ジャンプ。

互いのリズムが合わないと出来ませんが、ここでもスピードを意識します。

 

 

速さのための基本稽古とその意味

組手のセミナーですが、アップのあとは基本でした。

平行立ちを取り姿勢の確認です。

荒賀先生の教えですが軸は真ん中に置き、重心はやや前傾気味に。

軽く両膝を曲げ、足の指で床を掴む感覚です。

これは自分の前に立つ相手に攻撃を加えるからです。

 

左手を前に出し用意します。

この時も、左の肩のチカラを抜くだけで拳ひとつ分、もうひと伸びします。

この「もうひと伸び」が後の組手競技に大きな影響を及ぼします。

遠くを突けた方が良いのですが、左右の肩を振って突くのとは意味が異なります。

基本の突きにおいてダメな突き方を説明されています。

真っ直ぐに体勢を維持したまま、やや肩を前に出す程度です。

 

突く位置は上段でも中段でも構わず、自分で決めた位置を一点集中して稽古します。

ゆっくりと丁寧にフォームを崩さずに繰り返しています。

 

荒賀先生の上段を突く際のフォームは、肩のライン上に自分の顎を乗せる感じ。

少しだけ顎を引いています。

普段から意識していないと試合中顎が浮いてしまうので、日常生活の中から意識して顎を締めているとのこと。

顎が浮いていると試合中相手の攻撃をもらいやすいし、ケガしやすいとのこと。

顎を締める利点は他にもあって、相手の突きが抜ける可能性がある。

ドンピシャのタイミングで獲られても突きは抜けてしまうとポイントにはなりませんので確かにそうです。

 

普段の稽古から顎を締める意識は必要ですね。

腰や顎が浮いてる人で強い人はいません。

腰が高いと構え出しで遅れるし、顎締めてないと拳に強い技を乗せる事が出来ませんので。

 

 

私が道場で苦労していること。

それは稽古中の集中力です。

荒賀先生のセミナーでも同じことが起きるシーンがありました。

そんな時、先生の言葉がコレ。

「構えてる間から、ハイなおってと言われるまで絶対に目線は一点から外してはいけません」

「目線を外して、構えを崩したり・帯を触ったり・隣の人を気にしたり・後ろが気になったりする人、落ち着きのない行動は、試合中にも出てしまいます。勝手に止めがかかったと判断したり、周りの人の応援に気を取られたりしてしまいます」

「なおってと言われるまで自分の世界に入ること」

 

一言「集中してください」

 

仕切り直しに再度突きの稽古に入りますが、構えだしが遅いと何度もやり直しです。

口調は優しいですが、緊張感が走ります。

 

号令の後、素早く突きますが大事なのは「号令のあと」

「号令と同時」ではありません。

号令も同じテンポではなく、どこかで間を開けたりしながら揺さぶります。

これには意味があり、号令のリズムを読んで間違って突いてしまう人がいます。

間違って突いてしまったら、素早くその手を戻させるためにあえてそうしています。

 

リズムを変える。

たったこれだけで更に緊張感が増した感じになりました。

集中して良く聞き、号令に反応して突く。

集中力と反射神経が研ぎ澄まされていきます。

シンプルに良い指導法だと感じました。

ただ号令に合わせて突くだけの稽古よりも格段に質が高い。

 

「良いですか?数少ない基本稽古の中で、どうやったら強くなるか・上手くなるか。答えは集中してする以外にありません」

「100回・200回ダラダラと突いていても時間と体力のムダです」

「10回・20回だけでも今のように緊張感を持って取り組めば、自分の実力は上がります」

「今日だけじゃなく、道場に帰ってからも集中して稽古してください」

 

 

次の基本は連続10本突き。

ひとつの号令でスピードを上げて連続で10本突きます。

急ぐあまりに小さな突きにならず、多少カタチは崩れたとしても大きな突きを心がけます。

10本突きを10セット。

どんなにしんどくても止めの号令がかかるまで突き手を降ろしてはいけません。

この当たりから生徒たちも緊張感が芽生えだし、気合いの声も構えだしの速さも目に見えて変化してきました。

 

 

左前屈立ちを取り、上段突きと中段突きの基本です。

肩が縮こまって小さな突きにならないよう注意を促します。

連続で20本突きますが、ここでもリズムを変えています。

間違えて突いてしまうと直ぐに修正する生徒も現れだしています。

 

ここでも顎のラインに突きが乗るように指導されていました。

 

 

突きのあとは蹴りでした。

胸の前に手のひらを置き、閉足立ちから素早く抱え込んで降ろします。

意識するのは、素早く上げて・素早く降ろすところまで。

しかも音を鳴らさずしずかにです。

やってる内容は道場と同じでしたが、静かに降ろすところは意識していませんでした。

 

抱え込みを終え、次は下段スナップ。

これは宇佐美先生の「ベスト空手」DVDの中に稽古前のウォーミングアップで紹介されていたものと全く同じでした。

膝高さ程度に軽く抱えこみ膝下を脱力して、前方に放り投げ引き足を取る練習。

踵が腿裏にタッチさせるイメージです。

凄く分かりやすい例えで「自転車の逆こぎ」をしないと説明されていました。

小さな子供でも理解しやすい例えだと感じました。

 

先程の抱え込みとスナップをミックスさせた蹴り練。

胸の高さに手の平を置き、膝が当たってから蹴りを放ちスナップを使って戻す練習です。

ポイントは手のひらに当たってから蹴ること。

当たる前に蹴ってしまっては抱え込みの意識が芽生えません。

このあたりも、説明の中で分かりやすく伝えられています。

 

左右に10回蹴ったら今度は、同じ足で2回連続で素早く蹴ります。

これはやったこと無かった練習方法です。

これにもコツを説明されていて、1回目蹴って足を降ろした時に足の裏をべったりいては2本目が遅れます。

つま先のみ床につけて素早く動かす意識です。

「しっかり顎を引いて」

「軽く膝を緩めて立ち」

「重心は少し前気味」

蹴った時、姿勢が崩れたら素早く蹴れません。

 

良い練習方法だな。

 

 

移動基本です。

多少カタチは崩れてもスピードを落とさない意識と指導されています。

回る時も、首から動かし素早くターンして下段払い。

追い突きを5歩進んでターン。

同様に逆突きも。

 

今度は上段揚げ受けと逆突きの組み合わせなんかも。

スピード感の無い2挙動では行わず、受けから突きまでが1セットの意識です。

技のスピード意識を持たせる練習。

これはやってこなかった。

形の中でもキレが増すような気がしますので、早速取り入れたいな。

 

DVDの中でも集中力の切れてきた生徒の動きが確認されると、厳しく指摘しやり直し。

厳しさが伝わってきます。

 

最後は基本の構え(真身)から正面蹴りの移動です。

構えた手はそのままに蹴ることが重要で、手の反動を使いたがる人も中にはいてますが、両手はそこに置いていないと蹴りのガードが出来ません。

稽古中そのような説明でした。

 

 

収録時間の半分を基本に費やしています。

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2025.10.24 Friday