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新設! 組手の基本【身体を振ってよける!かわす!】
こんにちは!
Vol.4は身体を振ってよける!かわす! (2016年5月号)
上体を振る利点をこう説明されています。
上体の振りと言えば、ダッキングとスウェイバックがあります。相手が攻撃してきた時にかわすテクニックですが、常に上体を振るウィービングもあります。
(膝を支点に左右に身体をUの字に振るテクニック。ボクシングで良く見かけますね)
この3つに共通する点は、必ずしも運足を必要としないところ。その場での上体の振りだけでも攻撃をかわすことが出来ます。
左右に移動するより、上体の振りだけでかわすことのメリットは、
1・素早く相手の攻撃をかわせる
2・接近した状態から反撃が出来るので、時間的に有利になる
例えば、相手が攻撃してきた時に、後退して反撃に転じれば、後退から前進に移行するには、いったんニュートラルな状態に戻ってから反対方向へ移動することになります。
身体全体が後退するのをいったん静止させてから前進する訳ですから、相手の追撃が先に決まってしまいます。
ところが、足の位置はそのままで上体だけ反らして攻撃をかわせば、上半身だけ動けば良いので、運足でかわすよりも時間的には早くなる理屈です。
腕を振る練習方法です。
①腕振り:脱力状態から両手を左右に振り、腕の動きに合わせて身体を左右に捻る。
②肩振り:脱力状態から肩を左右に振り、肩の動きに腕が遅れて振られるように動く。
③横振り:脱力状態から上体を左右に振り、腕は上体が左に振られた時は左手が上で右手が下。右に振った時は右手が上で左手は下に振る。
ペア練習の紹介です。
①ウィービング
攻撃側は通常の組手構え・防御側は相手に身体の前面を向けて立ちます。
この時、防御側は両肘を曲げて胸の高さに構えておきます。
攻撃側は、上段突き・中段突き・刻み突き・逆突きで攻撃し、防御側は腕を振りながら左右に上体を振ってかわし、戻しを利用してカウンターを打ちます。
反撃のパターンも無限大に広がりますね。
注意点は腕の振りでウィービングしますので片方の手は、顔をカバー出来る位置になければいけません。
コーナー際の攻防に役立つのではないでしょうか。
②ダッキング & スウェイバック
今度は相手に対し、横向きに立ちます。前傾姿勢を取る場合は、前手を若干上げて奥手を下げます。
反対に後傾姿勢を取る時は、前の手を下げ、奥手を上げます。
スウェイバックは基本的には後ろ足を後退させずに、その場で上体を振って攻防を行います。刻み突きでカウンターを狙う場合は、上体を後傾させた時に前拳を引かずに出来るだけその場に残すようにすると、反撃が速まります。
逆突きでカウンターを打つ場合、上体を後傾させた時に前手を相手の突きに添えます。また逆突きは、そのまま普通に突くと相手の腕にぶつかってしまうので、小指を上に向けて突きます。この突き方は、相手の腕にぶつからない他、突きが4人の副審の視界に入りやすくポイントの確立が上がります。
かわし方全般に言えることとして、呼吸の大切さをあげられています。
後傾する時に息を吸い、前傾する時に息を吐くことで、動きがさらに速くなるようです。
次はダッキングです。
ダッキングはただ避けるだけではなく、相手の懐に入ってすぐに攻撃が出来るように心がけます。
ダッキングの仕方ですが、相手の外側に顔を置く形が望ましいです。
お互いが「正体」の場合で説明します。
相手が刻み突きできた場合、そのまま顔をガードしながら左脇の下に入ります。
相手が上段逆突きできた場合、自分の右肩を相手の右脇にぶつけるように入ります。
相手の懐に潜り込んだら、そこで止まらず直ちに反撃に転じます。
カウンターのパターンとしては、逆突き・裏回し蹴り・サソリ蹴りがありますね。
「後の先」でした。
新設! 組手の基本【組手の基本・上級編】
こんにちは!
Vol.3は組手の基本・上級編 (2015年9月号)
これも、カニ構えについてです。
カニ構えは、やや浅めの四股立ちで構えますが、どれだけ強いかを説明されています。特に非力・軽量の人は四股立ち以外考えられないとまで言われています。
立ち方の違いによる強度の差を検証します。パートナーに両手を前に出して掌を重ねてもらい、自分が片手で押してみます。
押す際、3つの立ち方を試してみます。
検証1 押してみる
①:前屈立ち、または基立ち
①はパートナーが両手で構えていれば、よほどの力の差がない限り押すことは出来ません。この場合、単純に力対力の勝負です。
②:両足を平行に取る
②は相手に対して全く押すことが出来ないはずです。
③:四股立ち
③は力を入れて押さなくても、両足の膝裏を抜くだけで楽に押すことが出来るはずです。
検証2 片足で立ち、安定感を試す
④:軸足を十分に開かず、つま先を真横に向けて膝を掻い込む
④はパートナーに肩を押してもらってみると、簡単に飛ばされるはずです。
⑤:軸足のつま先を真後ろに向けて膝を掻い込む
⑤他の構え方なら、軸足を旋回させますが、カニ構えではスムーズに持ってこれますね。
次に動きやすさについてです。
カニ構えの場合、動きそのものが速く多彩になるだけでなく、技のバリエーションも増えてきます。カニ構えで得られるメリットを挙げてみます。
⑥細かな運足と安定
足を平行に揃える場合とつま先を外に開く場合では、運足が大きく異なります。
平行に揃えて真横に構えると、前進・後退は股関節が動き、足全体で行わなければならない。
つま先を外側に向けると、膝から下だけで前進・後退が出来ます。
膝から下だけで動ける分、身体の上下動が減り、目線が安定します。加えて、つま先を開けば、他の立ち方よりも急加速・急ブレーキ・急転換が可能となり、急激な方向転換でも体軸がブレずに安定して動くことが出来ます。
⑦スウェイとダッキングが容易
カニ構えは、他と比べて上半身を振りやすく、上体だけで相手の技を自在に避けることが可能です。また相手に正面を向く必要が無いので的も小さくなります。
特に、スウェイバック時カニ構えの優秀性が顕著に表れます。基立ちベースから上体を後ろに反らしても、振り幅が小さく十分に相手の攻撃をかわせないだけで無く、瞬時に基の姿勢に戻れません。これでは反撃に遅れてしまいます。
一方、カニ構えでは上体の振りが大きく楽に振る事が出来、万が一後ろに反った時に突き飛ばされても十分に耐える事が出来る位に強く、また反撃も容易です。
またダッキングに関しても、四股立ちのまま行えば瞬間的に身体の落下を利用し相手の攻撃を回避出来ます。
【刻み突き】
①:両つま先を開いてカニ構え
つま先を開くことで”おこり”が消え且つ遠くまで届く
②:後ろ足つま先を動かさずに前拳を構えた位置からそのまま突く
後ろ足で強く蹴らない分、力みが無く技の”おこり”も少なくなる
③:突いた手を思い切り引いて足をスイッチして残心を取る
まっすぐに突き込んでも僅かに線を外す事ができ且つ次の攻撃に移りやすい
留意点
①落ちてくるものを拾いにいくイメージで拳を出す
②突きが極まった瞬間の両膝の向きに注意する
③引きと同時に、両足を浮かせスイッチする
手が先に飛び → 上体が傾いて手に乗り → 足がついてくる 感じです。
【上段逆突き】ワンステップ
①両つま先を開く
②後ろ足つま先は後ろを向けたまま床を蹴って前進
③後ろ足股関節を内旋させて突く
【上段逆突き】ツーステップ
①両つま先を開く
②後ろ足つま先は、後ろを向けたまま床を蹴って前進
③前足が着地した瞬間に前足で床を蹴ってツーステップ目
④前進移動中に突きを極める
⑤両足が着地した時点では、突いた手を引いている
留意点
①前進時に構えを崩さない
②突く時に、前手を引かずに前手に全身が寄って行くイメージを持つ
③引き手を大きく取り、カニ構えで残心を取る
補足説明です。
前手を引かない理由ですが、前進して突く時に前の手を引いてしまうと、スペースが生まれカウンターを誘発するからです。
【蹴り】
①足が高く上がる
シーソーの原理で、片方を下げることでもう片方が上がる
②遠くまで蹴りが届く
首から下を振ることで、身体を遠くに飛ばして蹴る
③相手の突きが届かない
上体を倒すので、相手から自分の顔が遠くなる
屈んで蹴る
カニ構えでダッキングすることで反撃が容易になります。
①前足での裏回し蹴り
膝を掻い込んでさらに身体を倒して蹴る
②後ろ足での裏回し蹴り
後ろの肩を相手にぶつけるように腰を切り、後頭部を蹴る
③サソリ蹴り
前足が相手の外にある時は、後ろ足で蹴る
最後に、カニ構えで最も効果的と思われることは、角度・間合い・技の軌道が多彩になり、相手にとっては予想しにくいスタイルであり、気配を察知されない点だそうです。
気配を少しでも消すことが出来れば、相手の反応は僅かに遅れる分、自分の攻撃が極まりやすくなると言えます。
新設! 組手の基本【世界に見る組手】
こんにちは!
Vol.2は世界に見る組手 (2013年3月号)
カニ構えの続きです。ここでは、カニ構えから突けば20㎝距離を稼げると説明されています。
上体を真横にして、つま先を90度に開くと、顔の位置が10㎝ほど後方に移動します。
つまり両足の位置は同じでも、10㎝分だけ相手の突きが届かなくなり、逆突きをすれば自分の突きは10㎝伸びると言います。
つまり、構えを変えるだけで20㎝得と言うわけですね。
また、カニ構えは低リスクである理由にも触れています。
後ろ足つま先を斜め後ろに向けることで、相手の攻撃を最小限度に止められます。
攻撃を食らって最も危険な瞬間は、自分が攻撃を仕掛けた瞬間です。
相手に対し前進している時に攻撃を食らえば、ダメージは倍増します。
カニ構えでは、前足を踏み出しても後ろ足を壁としているために前足だけが、前進し、上体はその場に留まっていますので、カウンターのリスクが軽減されます。
刻み突きの時に、後ろ足つま先を前に向ける必要が無い理由を説明します。
斜め後ろにつま先を向けておけば、両足の裏全体が床に接地しているので、足裏全体で床を押す時間が長い分、結果的に床を押すエネルギーが大きくなるためです。
加えて、前足股関節の抜きや上半身の振り等、身体全体で前進することが出来る分、より速くより遠くを突くことが出来るという訳ですね。
新設! 組手の基本【カニ型組手】
こんにちは!
JKFanに2013年1月号から2020年6月号にかけて不定期で掲載された、月井 新先生の組手の基本を一冊に纏めた教範となります。
全11回に分けて紹介したいと思います。
Vol.1はカニ型組手 (2013年1月号)
ひと昔前の日本人選手の構え方が前提で話を進めます。
基本的には半身を取り、正中線を守ります。前足つま先は正面、後ろ足つま先は斜め前に向けています。
後ろ足のつま先が真横(あるいは斜め後ろ)に向いていると「崩されやすい」・「身体が流れている」・「後ろ足で床が蹴れない」と言った声が聞かれます。
それに対し海外選手では、相手に対して真横に構え前拳の後ろに自分の身体を隠し、基本的には両足のつま先は直角に開いています。
つまり、日本人選手は前屈立ちに近い構えに対し、海外選手は後屈立ち、もしくは四股立ちをベースにしています。
以下に相違点を挙げます。
1:上体の向き
日本人選手:正面に対し45~70°程 / 海外選手:90°に近い
2:両足つま先の角度
日本人選手:30~60°程度 / 海外選手:90°に近い
3:重心
日本人選手:やや前 / 海外選手:やや後ろ
半身の構えからの突きと、真横の構えからの突きを比較してみます。
半身の構えから基立ちで踏み込むと、前足と同時に身体全体が前進するため上体が相手に接近してしまう。
真横の構えからサイドステップで踏み込むと前足だけが相手に向かって飛び、身体を残すことが出来ます。そして、そこから腰を入れて突くので相手に取って射程圏外から突如突きが飛んでくる感覚となります。
相手のカウンターの射程圏外にいますので、刻み突きを食らう可能性が少なくなります。加えて、頭を後ろから押し込められるように入る事で、顔面が真っすぐに相手に向かっていくのではなく、線を外して突けるので二重に安全対策が取れます。
この突きで最も大切なところは、突く直前の立ち方にあります。
後ろ足のつま先が真横から斜め後ろを向いていれば、前足を飛ばしたときに身体は流れません。つまり後ろ足が「壁」になります。
これを、基立ちで構えると、前足を踏み込むと同時に身体全体が一緒に前進するので、身体が相手に早く近づくことになります。
カニ構えのフットワークのコツです。
・膝から下で動き、膝の位置は変えない
・逆突きは股関節の内旋で突き、突いた後は引き手と股関節の外旋を使い、素早く後退し距離を取る
・刻み突きに入る時も、両足を直角に開いたまま突いて良い。(後ろ足を開くことで線を外して入る効果がある)
・前足は踵から着地する
・刻み突きの後に間を切る時は、引き手と一緒に前足股関節を外旋させ、足をスイッチして後退する(次の反撃も素早くできる)
・両足のつま先を直角に保ったまま動き、必要に合わせて股関節の内外旋、肩甲骨の開閉を使って受け・突き・蹴りを行い、攻撃の後は間を切る
2022年現在の組手は、完全にカニ構えが定着していますね。
ステップマスター -アジリティクロス-
こんにちは!
競技の達人でおなじみ、月井 新先生が考案?されたステップマスター。
アジリティクロスの名称でも販売されていますが、どちらが先に出したのかは分かりません。
私は、月井先生の方で、DVDと一緒に購入しました。
触り心地はビニール製のチューブなので、柔らかいし踏んでも割れません。(まったく痛くない)
以前のブログにも触れたとおり、組手に必要なリズム感と筋持久力を養うトレーニングです。
試合中、利き構えからスッと逆構えにスイッチしただけでも、やりにくさを感じるはずです。
動きの中で技が途切れることなく、繰り出す事が出来れば相手にとっては脅威となることでしょう。
練習の効果ですが、瞬発力や動作の切り替えが速くなったり、脳と身体の調整能力が高まります。
なによりも、リズム感が上がりますので組手のアップがてら、軽く飛ぶと良い感じで試合に臨めるのではないでしょうか。
細かなステップワークが要求されるスポーツのトレーニングツールと言えます。